現金や不動産など相続した形態にもよりますが、故人から財産を譲り受ける際に多額の相続税が発生することがあります。
そこで今回は、マンションを活用した生前贈与による相続税対策やトラブル回避術などについてご紹介していきます。
【目次】
1.生前贈与をおすすめする理由
2.マンションを生前贈与するメリット
相続税を節約できる
都心部では小規模宅地等の特例が有効
賃貸経営で評価額を下げることができる
3.マンションを生前贈与する際の注意点
立地を考慮する
推定相続人以外に贈与する
不動産賃貸業の開始時期に注意
4.相続対策の前に必ず遺産分割を
5.クレアスライフが提供する「コンシェリア」マンションシリーズ
6.まとめ
1.生前贈与をおすすめする理由
生前贈与をおすすめする一番の理由は、相続税よりも贈与税の税率が低いため、節税ができるからです。
相続税は、財産の持ち主が亡くなり、相続人に全財産を渡す際に発生します。
相続税を導き出す前に、まず土地や建物、預金などの財産から借入金や未払金といった債務を引いた正味の遺産額から基礎控除額を引いた課税遺産総額を計算します。
正味の遺産額-基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)=課税遺産総額
仮に、この課税遺産総額を1億円として妻の相続税を算出すると、
妻と子供2人が法定相続分を取得する場合、妻の相続税は5000万円、そこから税率20%の200万円が控除され、相続税の総額は800万円となります。
具体的な計算式は以下の通りです。
・課税遺産総額
正味の遺産額1億4,800万円-基礎控除額4,800万円(3,000万円+600万円×3人) = 1億円
・妻の相続税
5,000万円×20%(税率)-200万円(控除額) =800万円
一方、贈与税は生前に財産を渡す際にかかる税金で、譲渡される人が支払うことになります。
相続税のように全財産を一度に渡すのではなく、毎年分割できるのが特徴です。税率と税金は金額の大きさによって変わります。
生前贈与は分割によって税金の対象額を低く設定できるため、相続税よりも安い税率になり節税になります。さらに基礎控除額の110万円以下であれば贈与税を支払う必要もありません。
2.マンションを生前贈与するメリット
前の章では、生前贈与で税金が抑えられることをご紹介しましたが、生前贈与をマンションにすることで、さらにメリットを享受できるようになります。
相続税を節約できる
マンションを生前贈与すると、マンションの評価額分の相続財産が減るため、相続税が減額や支払い不要となる場合があります。
生前贈与は110万円を超えると贈与税がかかりますが、前述のように相続時には基礎控除額などがあり、差し引いてから課税されます。
例えば、マンション1室の基礎控除後の課税価格が1000万円の場合、相続などで一度に引き渡すと一般税率が40%となり、かなりの出費を強いられることになります。
しかし、贈与は毎年できるため、3年間に分割して330万円、330万円、340万円と贈与すると、税率は毎年15%に抑えることができ、高い節税効果が期待できます。
ただ、相続の場合でも相続時の基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人の数) 内に収まる金額であれは、相続税の支払いが不要になります。生前贈与を決める前に確認しましょう。
都心部では小規模宅地等の特例が有効
都心部に限っては、被相続人が自宅や事業用などで使っていた宅地を取得する場合、一定の面積までは、最大80%減額して評価する「小規模宅地等の特例」が有効になる 場合もあります。
もし80%の特例が適用されれば、1億円の宅地でも評価額は2000万円になり、大幅な節税となります。
ただし、坪単価の安い地方では都心部ほど特例が活きない可能性があります。地方に宅地を持っている場合は、それを売却して都心の宅地を購入し、特例を活用するのも1つの手段です。
賃貸経営で評価額を下げることができる
生前贈与されたマンションを賃貸経営することで、評価額を下げ、相続税の節税もできるようになります。
まず、マンションを生前贈与された時点で、その建物評価は固定資産税評価額となり、一般的に建築費用の40~70%程度の評価となることが多く、現金よりも相続税を節税できます。
また、贈与されたマンションを賃貸経営する場合の固定資産税評価額は、そうでない物件よりさらに30%控除されます。
例えば、クレアスライフで取り扱っている3350万円の物件の場合、相続税の対象となる金額は840万円となります。
3350万円×34%×70%=840万円
※小数点第一位を四捨五入
現金で3350万円相続すると3350万円に対して相続税が発生しますが、3350万円分の投資用物件として持っている場合、840万円に対してのみ相続税が発生することになります。
3.マンションを生前贈与する際の注意点
ここからは、マンションを生前贈与する際の注意点について見ていきましょう。
立地を考慮する
相続人は、生前贈与されたマンションをそのまま賃貸転用や売却する可能性があるため、贈与目的で購入する際は立地選びが重要となってきます。
一般的には、都心三区(千代田区、港区、中央区)、そして再開発が活況を呈している新宿区、渋谷区は、スーパーや病院などの生活利便施設が充実し、オフィスや学校へのアクセスが良好であることから、評価額が上がりやすく今後も下がりにくい傾向にあります。
しかし、都心でも評価額が下がりやすい場所もあれば、郊外でも八王子や橋本のようにリニア新幹線の開発などで上昇傾向の場所もあります。
ただ、こうした場所は知る人ぞ知る立地であるため、都心三区が無難といえます。
推定相続人以外に贈与する
贈与者が生前贈与から3年以内に亡くなってしまった場合、その贈与は相続財産として見直され相続税が発生することがあります。
それを避けるために、贈与は推定相続人以外を対象に行うのがおすすめです。
推定相続人というのは、配偶者や子など法定相続人となりえる人のことです。子供の配偶者や孫など相続人以外への贈与であれば、相続税の対象外となります。
ただし、推定相続人以外の人が遺言で財産を遺贈され、その人が3年以内に贈与を受けていた場合は相続税に加算される ため注意が必要です。
不動産賃貸業の開始時期に注意
マンションの生前贈与を受ける人は、持ち主が不動産賃貸業を始めた時期によっては、相続税の減額の対象にならない場合があります。
2018年4月1日以降、不動産賃貸業用の小規模宅地特例として、故人が賃貸物件として使っていた宅地の相続税は、200㎡まで50%控除されるようになりましたが、同時に、亡くなる前の3年以内に新たに賃貸を始めた物件には適用できなくなりました。
ただし、亡くなる前に3年以上、不動産賃貸業を事業的規模で営んでいた方の場合は、相続税対策ではなく事業であったと判断され、新たな賃貸物件でも特例の対象となります 。
4.相続対策の前に必ず遺産分割を
最後に、相続対策によって節税を図る前に、必ず遺産分割をしっかり行うことが大切です。
例えば、夫に1億円の財産があり、妻、子供が2人いる場合、法定相続分では妻が5000万円、子供2人は2500万円を相続することになります。
しかし、法律はあくまで一番下の規範であり、妻に財産1億円を譲るというのも問題ありません。
ただ、この場合は子供と相続トラブルが発生するリスクも高いため、できれば公正証書遺言に妻に1億円を譲る旨を残しておきましょう。
公正証書遺言は公証人関与のもと作成する方法 で、最も確実な遺言書です。自筆証書遺言と比べ、圧倒的に問題解決能力が高いため、相続準備の際に作成しておくと安心です。
5.クレアスライフが提供する「コンシェリア」マンションシリーズ
一般的なマンション会社では、駅近から遠方まで様々な物件を総合的に取り扱っていますが、クレアスライフでは、自社ブランド「コンシェリア」マンションシリーズを供給し続けています。
コンシェリアシリーズは資産価値に優れ、安定した賃貸需要が見込まれる東京都心エリアを中心に展開しているほか、入居する方が快適・便利に暮らすことができるよう、デザイン・仕様・室内設備などのグレードにもこだわりをもって企画したマンションとなっています。
また、立地や品質と同様にその後の維持管理も大切ですが、クレアスライフでは賃貸管理サービス、建物管理サービスなど各種サービスを提供することで、オーナー様のマンション経営をサポートします。
6.まとめ
分割して譲ることができる生前贈与を活用すると、一度に受け取る相続税よりも大幅な節税を実現することができます。
さらに、マンションとして生前贈与することで、小規模宅地の特例やマンションの評価額分の相続財産の減額など、さらなる節約が可能となります。
ただし、価値が下がりにくい立地、法定相続人以外への贈与、事前の遺産分割など、注意すべきポイントをしっかりと押さえ、思わぬリスクに備えましょう。