12月8日、平成29年度(2017年)度税制大綱が正式に公表されました。
これは与党が翌年度以降の税制を現状からどのように変えるかについてまとめた税制改正法案で、私たち国民の生活にも直接関わってくるものも多くあります。今回はどのような改正となるのでしょうか。
なかでも私たちサラリーマンの生活に関わりそうなものをピックアップしてまとめてみました。
一億総活躍社会の実現
まず、今回の税制大綱の基本的な考えを解説します。
安倍内閣は女性や若者が活躍できる「一億総活躍社会」の実現を目指し、その環境整備に取り組む一環での税制改正としています。また、企業には生産性向上のための攻めの投資を促しています。
こうしたことから賃金の引き上げにつながるとの考えです。具体的な税制改正のポイントは以下に挙げます。
配偶者控除適用の年収要件
2018年1月から所得控除の対象となる配偶者(妻など)の年収要件が、今までの103万円以下から150万円以下になる予定です。
例えば、妻のパート収入が年150万円以下であればサラリーマンの夫の38万円の配偶者控除が適用可能となります。妻は年間150万円まで収入を上げることができ、既婚の女性にとっても働きやすい環境になるでしょう。一方で、世帯主の年収が1220万円を超える世帯は対象外になります。
酒税
ビール類の税額を3段階で見直し、2026年に54.25円に一本化することになりました。
これにより第三のビールは2026年にかけて約26円、酎ハイは7円引き上げられることになります。
タワーマンションの固定資産税
高層階の固定資産税を引き上げ、低層階は引き下げられます。
これにより、タワーマンションと呼ばれるマンション(高さ60mを超え、概ね20階以上)の階層による評価のかい離を活用した相続税対策などがしにくくなります。
中小企業減税
前年度に比べ2%以上の賃上げがあった企業に給与支給額増額分の22%を法人税額から控除します。
今後給与は上がるのか
上記を見ると、配偶者控除の年収要件引き上げは、サラリーマンである夫の収入が上がらないために妻に多く稼がせるという見方にもなります。
ただ、子育てや家事を担っている妻にとって、さらに働くことができるのかという懸念もあります。中小企業の減税も経費削減や利益確保に必死ながら、賃上げ2%を達成できるのかも疑問です。
いずれにせよ、サラリーマンにとって税金は所得がガラス張り状態にあり、源泉徴収による課税がきっちりとなされている点です。
自営業者のように経費を算入し申告して納税するといった節税の策が取れないところに厳しい面があります。
不動産投資による節税効果
不動産投資では、サラリーマンでも経費を算入することが可能です。
家賃収入は不動産所得という所得に分類され、サラリーマンの給与所得と合算(損益通算)することができます。
実費を伴わない減価償却費、家賃収入で相殺する管理費や借入金利息、その他固定資産税などの運営費用を家賃収入から差引くことができ、引ききれなかったものは給与所得から差し引くことができるのです。その場合、確定申告をすることで所得税の還付を受けることができます。
また、住民税はこの所得額を基に算出されるので、所得が下がれば住民税も軽減されます。
超過累進課税制度(所得が上がるほど税率も上がる仕組み)の所得税にあって、サラリーマンがさらに時間を費やして残業したり、アルバイトをしたりしてもなかなか手取りは増やせません。
不動産所得(家賃収入)を活用する事で、経費を算入しながら資産形成ができる不動産投資は、サラリーマンにとって税金をも考えた収入の作り方になり得ます。
税金は知っているか知らないかで納める額が変わる事も多いです。ただ決められたものを受けるのではなく、自ら動き策を講じることも大切です。
不動産投資にはサラリーマンでもできる節税のポイントがあります。将来への資産形成とともに有効活用していきたいところです。