「投資」は、一瞬で投資したお金が無くなってしまうこともありますが、不動産投資ではそういったリスクは小さく、副業の中でも取り組みやすい投資の1つです。
しかし、不動産投資でも失敗する可能性はあり、しっかり注意して取り組む必要があります。 ただ、失敗した人の原因を見てみると、そのリスクを全く考えずに運用しているケースが目立ち、同じようなミスをしてしまっていることも少なくありません。
そこで今回は、代表的な6つのリスクとその対策法に加え、不動産投資での失敗事例をご紹介していきます。
リスクを考慮せずに不動産投資を始めると、高い確率で失敗に終わってしまうことになるでしょう。
そうならないためにも、不動産投資におけるリスクをしっかり把握するのは必須です。
【目次】
1.不動産投資の6つのリスク
2.空室リスク
空室リスクの概要
空室リスクへの対策法
3.金利上昇リスク
金利上昇リスクの概要
金利上昇リスクへの対策法
4.修繕コスト上昇リスク
修繕コスト上昇リスクの概要
修繕コスト上昇リスクへの対策法
5.管理会社リスク
管理会社リスクの概要
管理会社リスクへの対策法
6.欠陥のある不動産を購入するリスク
欠陥のある不動産を購入するリスクの概要
欠陥のある不動産を購入するリスクへの対策法
7.災害リスク
災害リスクの概要
災害リスクへの対策法
8.よくある失敗事例から学ぶ不動産投資のリスクと解決法
失敗事例①:予算重視・リスク忘却型
失敗事例①予算重視・リスク忘却型から学ぶ対策法
失敗事例②:サブリース重視型
失敗事例②サブリース重視型から学ぶ対策法
失敗事例③:地震リスク恐怖型
失敗事例③地震リスク恐怖型から学ぶ対策法
失敗事例④:維持管理無視型
失敗事例④維持管理無視型から学ぶ対策法
9.リスクの前に不動産投資という事業を考える
10.まとめ
1.不動産投資の6つのリスク
不動産投資は始めさえすれば必ずうまくいくというものではないため、リスクも想定しながら慎重に資産を運営する必要があります。
不動産投資から安定的な家賃収入を得ていく上で気を付けるべき主なリスクとしては以下の6つが挙げられます。
・空室リスク
・金利上昇リスク
・修繕コスト上昇リスク
・管理会社リスク
・欠陥のある不動産を購入するリスク
・災害リスク
まずは、この6つのリスクの概要とその対策法をご紹介していきます。
2.空室リスク
1つ目のリスクは、空室リスクです。
不動産投資リスクの99.9%は「空室リスク」が占めると言われています。
その他のリスクは空室リスクに比べれば大きな問題ではなく、満室運用できていればほとんどの問題は解決すると言われているほど対策すべきリスクです。
空室リスクの概要
入居者が見つからず、長く空室が続くと家賃収入が減ります。物件をローンで購入した場合は、その返済が厳しくなります。
また、空室が長期化すると、家賃を下げて入居者を見つけようとするため、当初想定していた利回りを実現できなくなることもあります。
空室リスクへの対策法
このような空室リスクを最小限に抑えるためにも、物件を選ぶ際は入居希望者がたくさん集まりやすい場所を選ぶことが一番です。
また、定期的に設備を見直し、「自分が住みたい」「自信をもって人に紹介できる」という状況を整えておくことが重要になります。
他にも、入居者を見つけてくれる力強い賃貸管理会社にお願いすることも重要です。
3.金利上昇リスク
2つ目のリスクは、金利上昇リスクです。
金利上昇リスクも空室リスクほどではありませんが無視できないリスクの1つです。
金利が上昇すると、借り入れたローンの返済利息にも影響を与え、キャッシュフローが狂ってしまう危険があります。
金利上昇リスクの概要
金利の変動により、ローンの返済額が当初の想定よりも増えてしまうリスクです。
例えば、銀行から3,600万円の融資を受けて投資用マンションを購入した場合、金利1.0%・期間30年(ボーナス返済なし)で計算すれば、月々の利息は、3万円です。しかし、金利が2.0%に上がった場合には、6万円に増えてしまいます。
固定金利ではあまり気にする必要はありませんが、変動金利では大きく影響する可能性がありますので、注意するようにしましょう。
金利上昇リスクへの対策法
この金利変動に関しては正確に予測することは難しいです。
市場の動向や国の金融政策など、個人で知りうる金利変動の情報を掴んでおくことと、金利上昇に耐えうる備えや定期的な繰上げ返済をすることが大切です。
日ごろから不動産投資について相談の出来るパートナーがいることも重要になります。
また、金利上昇に伴い、家賃を上げていくことも選択肢の1つとなります。
ただ、今回はリスクという形で金利についてご紹介しましたが、逆に金利が下がりお得になるというケースもあるため、対策するのは非常に難しい問題でもあります。
4.修繕コスト上昇リスク
3つ目のリスクは、修繕コストの上昇リスクです。
マンションという実物資産を所有するということは、当然ながら定期的な修繕(メンテナンス)が必要となりますが、低コストの物件では突発的なトラブルで予期せぬ出費が発生する危険性もあります。
修繕コスト上昇リスクの概要
支出に関連するリスクとしては、修繕コストの上昇があります。
電化製品でも松竹梅があるように、建物にも松竹梅はあり、低コストの物件は往々にして耐用年数や導入している設備の寿命が短い傾向にあります。
極端な例ではありますが、購入してすぐに屋上防水工事や排水管交換工事などが必要になり、数百万円の出費を余儀なくされた、といったケースもあります。
修繕コスト上昇リスクへの対策法
物件を検討する際に、修繕履歴をきちんと確認することで防げます。
また、修繕履歴を見るだけでなく、しっかり自分の目で現場を確認することである程度のリスクは軽減することが可能です。
もちろん、専門家ではないと気付けない部分も多いため、中古マンションへの投資を行う場合は、専門家に依頼することも選択肢の1つとして考えるようにしましょう。
5.管理会社リスク
4つ目のリスクは、管理会社リスクです。
「不動産投資は管理を買え」という言葉もある通り、管理会社の善し悪しで物件の運用時の収益や資産価値は大きく異なります。
管理会社リスクの概要
管理会社リスクとしては、非常に稀ですが倒産する可能性があることです。
管理会社とは、不動産投資を始めた後にオーナーの代わりに諸問題に対応できるよう家主代行契約を結びます。
これによってオーナーが行う業務を管理会社が行うことができ、わずらわしさが無くなります。
投資物件を管理会社に任せている場合、入居者からの家賃や敷金はいったん管理会社に振り込まれることになります。しかし、管理会社が倒産した場合、家賃や敷金を取り戻すことほとんど不可能です。
管理会社リスクへの対策法
購入後に管理会社を変更するのは困難です。
そのため、管理会社の実績を確認する必要があります。
「入居者への対応がずさん」「家賃の入金が遅れる」など、管理会社として基本的な仕事ができていない場合は、何らかの問題が発生している可能性があります。
6.欠陥のある不動産を購入するリスク
5つ目のリスクが「欠陥のある不動産を購入する」リスクです。
以前は法律用語で「瑕疵」と呼ばれていましたが、2020年4月に民法が改正され、「瑕疵」という言葉が「契約に適合しないもの」という言葉に置き換えられました。欠陥と考えるとわかりやすいかもしれません。
一見目立たない、よく調べないとわからない欠陥がある物件をつかむと、後々の運営を圧迫することがありますので注意が必要です。
欠陥のある不動産を購入するリスクの概要
不動産購入時に考えられるリスクとして、欠陥のある物件を購入してしまうリスクがあります。
欠陥は大きく分けて「物理的」「心理的」「環境的」の3つに分けられます。
「法的」欠陥を含めて4つという場合もありますが、法的欠陥は上記3つの対策でカバーできるため、ここでは割愛します。
例えば、物理的な欠陥には、雨漏り、シロアリ被害、建物の傾きといった欠陥が挙げられます。
心理的な欠陥は、購入した物件で殺人事件があったなど目に見えない欠陥のことです。
環境的な欠陥は近所の騒音など取り巻く環境についての欠陥をいいます。
これらの欠陥がある物件を購入してしまうと、物件の価値が下がってしまうだけでなく、入居者が入らなくなってしまいますので、しっかりと確認する必要があります。
欠陥のある不動産を購入するリスクへの対策法
物理的な欠陥については、購入時の契約書に付属している物件状況確認書を確認します。
物件状況確認書には雨漏りやシロアリなどについての現在の状況が記載されていますので、しっかりと確認することで物理的欠陥のある物件を購入してしまうことを防ぐことができます。
心理的な欠陥に関しては、重要事項説明書に記載されている内容を確認しましょう。
また、売主が欠陥があるのを知っていて説明しなかったような場合は、相手に損害賠償を請求することができます。
環境的な欠陥の対策としては、実際に自分で現地に足を運んで周辺を確認することが重要です。
入居者から騒音や異臭などのクレームがあったかどうかを管理会社に確認してみるのもいいでしょう。
なお新築住宅の場合は、瑕疵担保責任履行法という法律で保護されています。
リスク対処のため新築を購入する、というのも一つの方法です。
瑕疵担保責任履行法とは、新築住宅を販売する不動産会社に、瑕疵(欠陥)のうち杭や柱、防水といった重要な部分について、販売後10年間、その責任を果たせるように供託又は保険に加入しなさい、というものです。
もし欠陥があって、販売した不動産会社がすでに倒産していても、供託や保険を使って建替えや修繕が行われるという安心の制度です。
7.災害リスク(隠れた瑕疵リスク)
最後に、6つ目のリスクが災害リスク(隠れた瑕疵リスク)です。
一見目立たない、よく調べないとわからない欠陥がある物件をつかむと、後々の運営を圧迫することがありますので注意が必要です。
災害リスク(隠れた瑕疵リスク)の概要
不動産購入時に考えられるリスクとして、瑕疵(かし)のある物件を購入してしまうリスクがあります。
瑕疵は大きく分けて「物理的な瑕疵」「心理的な瑕疵」「環境的な瑕疵」の3つに分けられます。
例えば、物理的な瑕疵には、雨漏り、シロアリ被害、建物の傾きといった物理的な欠陥が挙げられます。
心理的な瑕疵は、購入した物件で殺人事件があったなど目に見えない心理的な欠陥のことです。環境的な瑕疵は近所の騒音など取り巻く環境についての欠陥をいいます。
これらの欠陥がある物件を購入してしまうと、物件の価値が下がってしまうだけでなく、入居者が入らなくなってしまいますので、しっかりと確認する必要があります。
災害リスクへの対策法
物理的な瑕疵については、購入時の契約書に付属している物件状況確認書を確認します。
物件状況確認書には雨漏りやシロアリなどについての現在の状況が記載されていますので、しっかりと確認することで物理的瑕疵のある物件を購入してしまうことを防ぐことができます。
心理的な瑕疵に関しては、瑕疵があることは契約解除事由になりますので、契約を解除できることがあります。物件が事故物件と判明した場合は、すぐに対応するようにしましょう。
また、売主が瑕疵があるのを知っていて説明しなかったような場合は、相手に損害賠償を請求することができます。
環境的な瑕疵の対策としては、実際に自分で現地に足を運んで周辺を確認することが重要です。入居者から騒音や異臭などのクレームがあったかどうかを管理会社に確認してみるのもいいでしょう。
なお、瑕疵担保責任履行法施行前(2009年施行)の物件はサポートが薄いため、2011年ごろの物件であれば心配はないでしょう。
8.よくある失敗事例から学ぶ不動産投資のリスクと解決法
まず、不動産投資における4つの失敗事例をご紹介し、そこから不動産投資のリスクと解決方法をご説明していきます。
失敗事例①:予算重視・リスク忘却型
予算を重視して、リスクを忘れてしまい失敗してしまうケースはよくあります。
例えば、30歳代の独身サラリーマンが不動産投資を考え、空室が1ヶ月出るリスクを避けるために山手線沿線、築浅の物件の購入を検討するとします。
しかし、いざ具体的な検討を始めると、購入したい物件はどれも自分の予算(といっても物理的な予算ではなく心理的な予算)を超えてしまうため、自分の予算に合う物件で探し始めてしまい、結局立地と築年数を妥協して購入するというケースです。
この場合、最終的に購入した物件は、山手線沿線でも築浅でもない、当初では見向きもしないような物件を買ってしまっていることがほとんどです。
そのような物件を購入してしまうと、立地や築年数の問題から空室期間が長くなり、家賃を下げる必要がでてきてしまい、当初描いた資金計画どおりの運用は難しくなってしまいます。
失敗事例①予算重視・リスク忘却型から学ぶ対策法
このケースでは予算を重視するあまり、最終的に空室が発生するリスクや、築年数で生じる修繕コストのリスクなどを見落としてしまっています。
不動産投資では利回りは重要で最も重要なのは入居率です。特に立地はしっかり検討すべきです。
予算を重視する人ほど、空室などのリスクが重要なのに底を見落としがちです。
予算+空室リスク、両方を許容できないなら物件の購入そのものを検討しなおす必要があります。
失敗事例②:サブリース重視型
サブリースに過度な期待をし、空室リスクを軽視して失敗しまうケースもよくあります。
サブリースをすると、たしかに空室の有無に係わらず一定の保証賃料が入金されます。
しかし、業者が保証しているのはあくまでも契約期間まで家賃から手数料を差し引いた保証賃料を家主に支払うことであり、家賃の金額そのものを保証しているわけではありません。
また、数年単位で家賃の見直しが行われ、見直しの度に保証される家賃は下がっていくケースがほとんどなのです。
しかも、空室が続けばサブリース業者は、手っ取り早く空室リスクを避ける対策として、家賃の値下げを行います。そうなると、当初想定した収益を得ることは難しくなってしまいます。
失敗事例②サブリース重視型から学ぶ対策法
サブリースで空室リスクの補完をすることはできません。
サブリースでは一時的な空室リスクを防ぐことはできますが、保証賃料の減額という形で投資家に転嫁されてしまいます。
結局のところ、サブリースがなくても満室稼働できる物件でなければ手を出すべきではないと言えます。
失敗事例③:地震リスク恐怖型
地震大国である日本で不動産投資を行う場合、どうしても地震による建物の損壊の影響が気になるところです。
そのため、地震リスクの小さな地域で不動産投資を始めようとする人もいますが、地震リスクばかりを懸念して、不動産リスクの高いエリアで不動産投資を行うのは本末転倒と言えます。
例えば、今後数十年で大規模な地震が起きないとされる地方の物件を購入したところで、都心と比較して圧倒的に空室リスクなどが高くなり、地震リスク以上のリスクを引き起こすことになります。
失敗事例③地震リスク恐怖型から学ぶ対策法
30年以内に80%の確率で起こると言われている南海トラフ地震も東京を直撃するかどうか定かではありません。
また、東京だけでなくそのほかの地域で分散投資を検討するにしても、日本中どこでも地震が起こるリスクがあるにもかかわらず、分散を理由に不動産リスクの高いエリアで不動産投資を行うのは本末転倒です。
地震リスクを気にすることは大切ですが、地震リスクを気にしすぎて物件選びがうまくいかないようであれば、不動産投資は向いていないのかもしれません。
失敗事例④:維持管理無視型
物件を所有すると、管理委託費用や修繕費、共益部の電気代など維持管理費(ランニングコスト)が発生します。
本業をしながら物件の管理を自分で行うと、維持管理費の支出を極端に嫌っていると、居住者や修理業者とのやりとりが増え、なかなか管理ができないような状態になり、空室リスクなどの危険も高くなってしまいます。
例えば、維持管理費の支出を極端に嫌うオーナーが、経年劣化でヒビが入ったマンションの外壁など壊れた部分の修繕を怠って放置するとします。
そうなると、入居者は維持管理の不備に不満を持ち、退去する可能性も考えられます。
他に住みやすい物件がいくらでもありますから、オーナーに修理を依頼してもいつまでも放置されるような物件に住み続けたい人はいるはずないのです。
こうして退去者が増え、物件の修繕費やリフォーム費用を支払えなくなって、物件がすさんでしまえば、空室がますます増えるという悪循環に陥るでしょう。
失敗事例④維持管理無視型から学ぶ対策法
物件の管理や居住者とのやりとりなど、外注できる部分はなるべく外注し、無理のない運用が大切です。
また、家賃を下がらなくするために、修繕だけでなくリノベーション、リフォーム、コンバージョン、耐震補強といったバリューアップを実施することで、不動産の価値向上を図り、収益性を高くする必要もあります。
一般的な心理として、対応年数が経過した見栄えの悪い物件に新築同等の家賃を払おうとは思いません。
それぞれの耐用年数を見て、壊れてから修繕で直すのではなく、壊れる前に直すバリューアップを念頭に入れることが大事です。
9.リスクの前に不動産投資という事業を考える
不動産投資を始めるうえで、リスクを知ることは大切ですが、その前に不動産投資という事業について考えておきましょう。
まず、「不動産投資」や「副業」という響きから、ついつい甘く考えてしまいがちですが、不動産投資は立派な事業です。
そのため、まず不動産投資をする際は、新規事業を立ち上げるくらいの気持ちで始めましょう。
不動産投資には、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」という2つの収益があります。
インカムゲインは不動産を賃貸することによって得られる利益で、キャピタルゲインは不動産が値上がりしたときに売却することで得られる利益(売却益)のことをいいます。
キャピタルゲインは非常にリスクが高いため副業として行っていくには向きません。本腰を入れて不動産業者として勝負していくぐらいの覚悟は必要です。
一方でインカムゲインは定期的に収入を見込む投資のため、ある程度本業を抱えたままの副業も可能です。
しかし、インカムゲインにしても空室が発生すれば収入は得られませんし、周辺家賃相場が下落すれば家賃を下げないと入居してもらえなくなります。
賃借人が支払い不能に陥れば、家賃は一部しか回収できない可能性もあります。
また、不動産価格は変動しますし、実物が経年変化で傷んだり、周辺環境が悪化したりして価値が下がることも考えられます。
このように、インカムゲイン、キャピタルゲインのいずれを狙うにしても、リスクを知り、対策する必要があります。
10.まとめ
不動産投資にリスクはつきものですが、対策法も確立しています。
また、リスクには大小があり、その代償は頻度、重大度合によって分けられます。結果的には1つのリスクを対処すれば、ほとんど解決するものばかりです。
不動産投資を始める前に、ここで紹介した4つの失敗事例、5つのリスクと対策法についてぜひ押さえておきましょう。