世田谷区の成り立ち
現在の世田谷区がある地域は古来より武蔵国に属しており、江戸時代には御府内(江戸の区域、城下町)には含まれていなかった。
明治・大正時代になっても旧東京市15区に属さず、世田谷区が東京の区域内に入ったのは、昭和時代の世界恐慌後。1932年に荏原郡(えばらぐん)および北多摩群から旧東京市に編入されてからだ。
その際に世田谷町、駒沢町、玉川村、松沢村の2町2村で世田谷区が構成され、1936年に千歳村、砧(きぬた)村の2村が世田谷区に編入されるなどして、現在の世田谷区が形成されていった。
都内最大の人口を持つ世田谷区
現在、都内最大の人口を有する世田谷区。世田谷、玉川、北沢、烏山、砧、の5つの地域に分かれている。
各地域ともにそれぞれの個性があり、居住地としての人気が高い。
世田谷区の人口が増え始めたのは第二次世界大戦後。第二次世界大戦終戦間際に、東京の主要地域が空襲による大きな被害を受けた中、世田谷区は比較的空襲被害が少なかった。
それにより、戦後から1965年にかけて都心からの移住者が多くなり人口が急増した。
また高度経済成長に伴う首都圏への人口集中化により、農村地区だった世田谷区は都内有数の住宅地区になっていった。
オリンピックゆかりの建物が存在する駒沢
世田谷区の駒沢には、1964年の東京オリンピックの際に作られた(使われた)建物が多く存在する。1940年に開催する予定だった「1940年東京オリンピック(志那事変が勃発したため中止)」のメイン会場の予定地として建設が進められていた「駒沢オリンピック公園(旧駒沢ゴルフ場)」が、1964年の東京オリンピックの会場(このときはサブ会場)として1964年に完成。サッカーやバレーボールの会場として使われた。
今でも当地は駒沢オリンピック公園総合運動場として利用されている。また周辺にはバレーボールの練習場として使われた「駒澤大学講堂兼体育館(6号館)」があるなど、1964年の東京オリンピックにゆかりのある施設が存在する。
また、近年では2020東京オリンピックにおいても駒沢オリンピック公園が公式練習場や聖火リレーのスタート地点として使用された。
田園都市線の開通
現在、東京都渋谷区の渋谷駅と神奈川県大和市の中央林間駅とを結ぶ東急田園都市線が、世田谷区を突き抜け走っている。
渋谷駅から二子玉川駅までの区間は、武蔵野台地の地下を走っているが、実はこの区間、もとは田園都市線には含まれない「東急新玉川線」という別路線だった(新玉川線以前は玉川線と呼ばれる路面電車で1969年まで運行されていた)が、2000年以降新玉川線も田園都市線の一部になった。
田園都市線の渋谷駅から駒沢大学駅までは、「玉川通り(国道246号の桜丘町~玉川間の呼び名)」の地下を線路が走っており、玉川通りは三軒茶屋、駒沢、用賀、二子玉川を抜けて多摩川に至る。
三軒茶屋、駒澤大エリアは、渋谷まで田園都市線で10分以内にアクセスできることなどから、20代を中心にした転入率が世田谷区の中で最も高い。
また、田園都市線は半蔵門線と直通運転を行っており、青山一丁目や九段下などへのアクセスも良好だ。
近辺に駒澤大学があることから、学生街としてのイメージが湧きやすい三軒茶屋、駒澤大学エリアだが、実際は学生よりも社会人が好む街である。
「ビットバレー(渋谷のIT関連のベンチャー企業が集中する地域)」に集まるIT企業の中には、会社から近いエリアに住むことを奨励している会社があるなど、渋谷で働く若者からの人気が高い。
三軒茶屋、駒澤大学エリアの今と今後
三軒茶屋は現在、「エコー仲見世商店街」をはじめとする昭和レトロな商店街が残る一方、三軒茶屋駅周辺の再開発によって誕生した商業施設「キャロットタワー」(1996年竣工)があるなど、レトロとモダンの雰囲気が入り混じる街だ。
戦後の青空市から始まったエコー仲見世商店街には、飲食店や化粧品店、かばん屋や洋服店が軒を並べており、独特の雰囲気の中買い物を楽しむことができる。三軒茶屋駅と直結しているキャロットタワーにはスーパーマーケットが入っており、雨に濡れず買い物ができるなど生活利便性が高い。
三軒茶屋にはかつて、映画ファンでは知らぬ者がないとまで言われた「三軒茶屋シネマ(2014年に閉館)」があり、三軒茶屋は独自の文化を発展させたことでも有名だ。キャロットタワーには「世田谷パブリックシアター」「シアタートム」などの小劇場が入っており、現在でも現代演劇や舞踏を中心とした公演がおこなわれている。
その一方で「世田谷公園」や「目黒天空公園」といった緑豊かな公園があるなど、三軒茶屋は利便性と独自文化、そして緑を多く持った街となっている。
また、駒沢には前記の駒沢オリンピック公園があり、スポーツ施設として一般市民に開放されている。
休日ともなればかなりの人でにぎわい、定期的に様々なイベントが開催されるなど、スポーツ施設が充実していることもこのエリアの魅力のひとつになるだろう。
2021年から田園都市線ではサステナブルな地下鉄を目指す「Green UNDER GROUND」プロジェクトを行っており、三軒茶屋駅・駒沢大学駅が共にリニューアルされる。
また、三軒茶屋では人と人、道路や鉄道、地上の街と地下鉄など、多くのものがクロスするより良い街づくり計画「三茶Crossing」計画が20年規模で行われる予定だ。
住環境や交通の利便性、そして独特の雰囲気から、今後も世田谷区の三軒茶屋、駒澤大学エリアの人気は衰えることがないと考えられる。
また入居者の属性やポテンシャルなどを考慮しても、三軒茶屋、駒澤大学近辺は、不動産投資の狙い目のエリアのひとつと言えるだろう。
三軒茶屋・駒沢周辺の家賃相場
三軒茶屋・駒沢周辺の家賃相場に関しては以下を参考にしてください。
(2022年6月3日現在)
三軒茶屋
間取り | 家賃 |
ワンルーム | 8万8,000円 |
1K | 9万3,000円 |
1DK | 11万8,000円 |
1LDK | 17万円 |
駒沢
間取り | 家賃 |
ワンルーム | 9万5,000円 |
1K | 8万9,000円 |
1DK | 11万1,000円 |
1LDK | 16万4,000円 |