不動産投資において、賃料がこの先どうなるのか?は言うまでもなく重要なポイントです。
東京23区の賃貸住宅需要は日本の中で最も安定的ですが、それでも投資用の不動産を購入される方は、「10年後の賃料はどうなのか」は気になると思います。
9月26日に(財)日本不動産研究所から「東京23区の賃料中期予測」が公表されました。今回はその予測を基に、今後の賃料について考えてみましょう。
このレポートでは、東京23区における、「新築」で「標準タイプ(40~80㎡)」のマンションについて、その価格と賃料の予測が掲載されていますが、ここでは賃料にフォーカスして述べて参ります。
ワンルームタイプ(25~40㎡程度)の予測は公表されていませんが、ここ数回の国勢調査の結果や、平均結婚年齢の上昇、離婚率の上昇などから単身世帯が増加する傾向にあるため、少なくとも「標準タイプ」よりは高くなると予測されます。また、㎡単価は、エリアや駅からの距離により大きく異なりますので、あくまでも東京23区全体の数字となります。その辺りを考慮して読み進めてください。
標準タイプのマンション賃料はリーマンショック辺りから少し落ち込み始めましたが、2013年以降反転し、以降上昇基調にあります。ここ20年間の賃料推移を見ると、その上下幅は㎡換算で300~400円ですから、40㎡では、12000円~15000円の上下幅です。
図は、23区のマンション価格と賃料の2008年以降の実績と2017年以降の予測をグラフ化したものです。
予測を見ていると、マンション価格はおおむね2020年で、潮目が変わり始めることが分かります。
新築マンションの賃料は、この先年率1%前後の上昇が続き、2020年には2016年対比3.6%の上昇と予測されています。
注目はその後です。2021年以降経済成長はプラスですが、ややブレーキがかかり、マンション価格は微減と予測されています。しかし、賃料はそれでも横ばいが続きます。つまり2020年以降、賃料の悪化懸念がありますが、このレポートでの予測では、少なくとも東京23区では、こうした傾向になく2020年以降も横ばいが続くとされています。
一般的に、ファミリーやディンクスタイプである40~80㎡のマンションはワンルームに比べて広いので賃料総額は高く、賃料の上下がワンルームタイプに比べて大きくなります。そのタイプの賃料予測でも、2020年以降は横ばいということですから、単独世帯数が増える今後のことを考えると、ワンルームタイプの賃料は、少なくとも横ばいか、おそらくやや上昇ということになるでしょう。