現在JR東海では、2027年開業を目指して「リニア新幹線」の開発を進めています。
何十年も前から、“未来の乗り物”“夢の超特急”などと称されるリニア新幹線ですが、いよいよ実現が近づいています。
現在の開発状況はどうなっているのか、また、リニア新幹線の開業によってどのような効果が予測されるのかについて気になるところです。
ここではリニア新幹線について、ご紹介していきます。
リニア新幹線が開発される経緯
リニア新幹線には、東京・大阪・名古屋といった日本の主軸である大都市をつないで、日本の大動脈(交通手段)を現在の東海道新幹線と合わせ、二つに増やすという目的があります。
現在、東海道新幹線が東京・名古屋・大阪をつなぐメイン路線となっていますが、万が一、地震などで被災した場合、一時的に運転ができなくなる恐れがあります。
被災などで新幹線が止まると、日本経済にとっても大きな打撃を受けるため、これを未然に防ごうというのが主な目的なのです。
JR東海は2011年の東日本大震災で大動脈二重化の重要性・緊急性を強く感じたとコメントしています。
リニア新幹線は現在どういう状況か
JR東海は2013年8月29日にリニア新幹線の新型車両「L0系」の試験走行を行いました。このときの最高速度は時速500㎞でした。
安定性が高い超電導磁気浮上式を採用した車両は、現在はまだ全長43㎞の実験場でしか走行することはできていません。
ですが、リニア新幹線が都市をつなげるための工事は着々と進行しています。
2016年12月19日には名古屋駅で、2017年3月30日には神奈川県で起工式が行われました。
まず2027年には東京・名古屋間で運行される予定です。
停車駅として発表されているのは「品川・相模原・甲府・飯田・中津川・名古屋」の6カ所です。
その後2037年に名古屋・大阪間の運行が予定されています。
リニア新幹線開業による効果は?
リニア新幹線が開業すれば、企業の生産活動や世帯・個人の消費活動の拠点にも変化が起こると考えられ、所得の個人差にも影響する可能性も考えられます。
交通政策審議会の分析では、利用者の移動時間の短縮による利便性向上の経済効果は東京・大阪間で年間7100億円と推測されています。
また、開業してから50年間で得られる東京・名古屋間の経済効果は10兆7000億円に上るだろうといわれています。
まず東京と約40分(現在の東海道新幹線「のぞみ」では約90分)でつながる名古屋では地域活性化が予想され、東京のバックアップ機能を果たすと考えられています。
特に製造業など第一次産業に強い名古屋を中心とした中京圏と、サービスや金融といった第三次産業に強い東京圏が融合することは、世界でも類を見ない大首都圏を生み出すことにもつながります。
また、首都圏の国際空港と中部の国際空港の連動も可能になり、世界からの利便性、注目度も一層高まるかもしれません。
一方で、地域の人やモノ、マネーが東京に吸い取られてしまう「ストロー現象」への懸念もないわけではありません。
このリニア新幹線と不動産投資を絡めた場合、2つのことが考えられます。
2020年の東京オリンピック開催後にも、まだ不動産投資にとって期待されるイベントがしっかり待っているということ、そのイベントの到来によって場所次第ではさらなる人口集積が生じるかもしれないということです。
いずれにせよ、リニア新幹線開業によって到来するビッグチャンスを生かし、それによりメリットを享受できる「投資時期」と「投資立地」選びを行うことが成功の鍵となるでしょう。