不動産の世界には、一般的に知られていない専門用語が多数存在しています。
法律関係の用語や建築関係の用語など、少し勉強してもわかりにくいものがほとんどです。
しかしながら、なかには事前に知っておくと不動産投資をするうえで有利であるものもたくさんあるのです。
今回は、不動産投資を始める前に知っておくとよい用語を3つピックアップして解説します。
周辺環境をイメージできる「用途地域」
「用途地域」とは、一般的に開発される市街化区域において周囲との用途混在を防ぐために都市計画法に基づいて指定された地域をいいます。
用途地域の種類によって、その地域の建物の用途や規模などに制限が定められています。
つまり、土地所有者が自分の土地だからといって好きなように建物を建てることはできません。
用途地域は大きく分けると住居系地域(住まいや学校などのための地域)、商業系地域(店舗や商業施設などのための地域)、工業系地域(工場などのような工業のための地域)の3つがあり、さらにそれが細分化され全部で12種類に分けられています。
■住居系地域 (全7種類)
・第一種低層住居専用地域 (戸建てや小規模のお店、小中学校など)
・第二種低層住居専用地域 (小中学校などのほか、150㎡までのお店など)
・第一種中高層住居専用地域 (病院や大学、500㎡までのお店など)
・第二種中高層住居専用地域 (病院や大学のほか、1,500㎡までのお店など)
・第一種住居地域 (3,000㎡までの店舗やホテルなど)
・第二種住居地域 (店舗やホテル、カラオケオックスなど)
・準住居地域 (幹線道路などの沿道で住居と調和した自動車関連施設など)
■商業地域 (全2種類)
・近隣商業地域 (商店街のような住宅や店舗、小規模な工場など)
・商業地域 (銀行や映画館、百貨店、オフィスビルなど)
■工業地域 (全3種類)
・準工業地域 (危険性、環境悪化の恐れ少ない工場やサービス施設など)
・工業地域 (工場、住宅やお店など、病院、ホテルなどは不可)
・工業専用地域 (工場)
例えば物件を購入する際などは、パンフレットに必ずこれらの地域が記載されています。
どんな地域にあるかによって周辺の環境や物件の規模感をイメージすることができるのです。
建築できる面積を制限する「建ぺい率」
「建ぺい率」とは、建物の火災による類焼などの防止のために、敷地に一定の空き地を確保するための数値で、敷地面積に対する建物の建築面積の割合をいいます。
仮に建ぺい率60%の敷地なら、その敷地面積に対し1階部分の建築面積が60%までになるように建物を建てなくてはなりません。
つまり、同じ敷地面積であっても建ぺい率の制限が緩い地域ほど広い建物が建てられるということになります。
この建ぺい率の最高限度は各自治体が都市計画のなかで用途地域ごとに定めています。
また、マンションのような耐火建築物については、同じ建ぺい率の地域であっても要件によって率(%)が増える緩和措置があります。
建物の規模に影響する「容積率」
「容積率」とは、主に高層の建物の災害防止に、敷地に対して建物の高さを制限するための数値で、その建物の敷地面積に対する延べ床面積(各階の床面積の合計)の割合をいいます。
例えば100㎡の敷地面積に、延べ床面積400㎡の建物を建てた場合、その容積率は400%ということになります。
つまり、同じ敷地面積であっても容積率の高い地域ほど高い建物が建てられるということになります。
この容積率の最高限度も各自治体の用途地域ごとで定められています。
一般的に容積率は住居系の用途地域ほど低く、商業系の用途地域ほど高くなっています。
今回ピックアップした用語の解説で、いずれも同じ町や地域であっても、建てられる建物の種類や規模が異なることをご理解頂いたかと思います。
また、それらを理解しておくことで、その用語や数値から、その建物や周辺環境をなんとなくイメージできるようになれるでしょう。
不動産投資においては、効率性を考えると、建ぺい率や容積率が高く、より大きな建物を建てられる土地の方が有利であるといえます。
一方で、それぞれの率がより制限されている方が、より静かな住環境が確保され、また希少性が高いなどの理由で空室率を抑えることができることもあるともいえます。
それぞれの特徴をふまえながら、物件購入の一つの物差しにしてみてはいかがでしょうか。