1月末に2017年12月分の住宅着工数が発表されました。
これにより、2017年1年分のデータが出そろい年間ベースでの比較ができますので、考察してみましょう。
2017年、年間の新設住宅着工数は96万4641戸となり、総数はほぼ前年並み(-0.3%)となりました。
持ち家(主には注文住宅)は28万4283戸で-2.7%、貸家(主には賃貸用住宅)は41万9397戸で+0.2%、分譲住宅は25万191戸で+1.9%となりました。
貸家カテゴリーは2012年以来6年連続のプラスで、リーマンショック後大きく数字を落としていましたが、だいぶん戻して来たという状況です。
分譲住宅(主に分譲マンション、分譲戸建て)は3年連続のプラスとなっています。首都圏では、かなり値段が高くなっていますが、それでも戸建て、マンションとも旺盛な需要に支えられているようです。
しかし、月別の前年同月比を見ると少しネガティブな状況も伺えます。
総数はほぼ前年並みと、冒頭に書きましたが、年の前半が好調だったためで、7月以降年末まで前年同月比でマイナス、2017年の12か月で前年同月比プラスになったのは僅か4か月だけとなっています。
また、貸家カテゴリーは前年対比+0.2%となっていますが、こちらは6月以降年末まで前年同月比マイナスとなっています。6年連続でプラスとなっているのでまだまだ好調感があるようですが、このところは横ばい基調からやや弱含みとなっています。
賃貸住宅の着工数停滞の理由は都市部と地方で異なります。
地方都市では長く続く低金利、相続税改正などにより、ここ5~6年土地活用として賃貸用住宅を建てる方が増えました。それらが一巡したということがあげられます。
一方、大都市部においては、2013年以降開発・建設が進み、新たな賃貸住宅マンション用地が少なくなってきており、またデベロッパーも用地が高騰しているため、販売価格を考えると容易に手が出せないという状況にあります。
今後しばらく、好立地で価格的にも適切な用地の供給は少ないと思います。
マンション需要が旺盛な状況はしばらく続きそうで、とくに投資用の分譲マンションの需要は、高止まりしています。また、ホテル需要の伸びも期待されている中で、ビジネスホテル用地と投資用マンション用地の一部は重なることもあり、適切な用地は競ってデベロッパーが触手をのばしています。
こうした状況が続くとマンション用地は値下がりしにくいものと思われます。
こうして考えると、来年以降販売される物件は、現在販売中の物件、あるいは近々販売される物件に比べて割高になる可能性が高いと予想されます。
また、立地条件的にも、徐々に厳しくなっていくものと思われます。具体的には、今後の物件はこれまでの物件に比べて、例えば、「駅からの距離が遠くなる」、「より郊外の物件が増える」、あるいは、「近隣環境がいまより良くない」などが考えられます。言うまでもありませんが、ワンルームマンション投資において物件の立地は、最重要ポイントの1つです。
こうしたことを踏まえて考えると、投資用マンションを近々購入しようと思われている方は、「もう少し待ってから」ではなく、「早め早めの検討」というスタンスがいいのかもしれません。