9月19日に国土交通省から「都道府県地価調査」が発表されました。
一般的に「基準地価」と呼ばれているこの地価は、下記に詳しく記していますが、公示地価(地価公示法により発表された地価)を補完する地価とされています。
東京23区の住宅地では、前年比3.0%の上昇で、前年の上昇が+2.8%でしたので、伸び率が上がりました。23区のうち、荒川区や千代田区は5.0%をこえる大きな伸びを示しています。
都道府県地価調査とは、国土利用計画法に基づき、各都道府県が毎年7月1日時点における調査地点の正常価格を調査・公表しているもので、昭和50年から実施されています。国土交通省によると、今年の調査地点数は、21,644地点(宅地:21,139地点、林地:505地点)だったようです。
地価公示と都道府県地価調査(=基準地価)の違いは、以下のように国土交通省が発表しています。
「地価公示は、地価公示法に基づき、土地鑑定委員会が、主に都市計画区域内を調査対象として毎年1月1日時点における標準地の正常な価格を公示するものです。一般の土地取引や相続税評価・固定資産税評価の目安として活用されるとともに、公共用地の取得、金融機関の担保評価、企業が保有する土地の時価評価の基準としても活用されるなど、いろいろな役割を果たしています。
また、都道府県地価調査は、国土利用計画法施行令第9条に基づき、都市計画区域内だけではなく都市計画区域外の土地も調査対象として都道府県知事が毎年7月1日時点における調査地点の正常価格を判定するもので、地価公示と調査時点及び対象区域において、相互に補完関係にあります。」
調査主体が地価公示は国土交通省の土地鑑定委員会で、都道府県地価調査は都道府県知事となっていますが、ともに土地取引の基準となる価格と言えます。違いは、基準日(1月1日と7月1日)と、鑑定する不動産鑑定士の人数(地価公示が2人、都道府県地価調査が1人)です。また、地価公示が調査対象を都市計画区域内に限定しているのに対して、都道府県地価調査は都市計画区域に加えて林地なども含んでいます。よって、地価公示を補完する(補う)ものという捉え方がいいと思います。
図1は、3大都市圏における都道府県地価調査による基準地価の変動率の推移です。
エリア(圏)の単位で見ると、変動率に大差はありません。名古屋圏は2013年以降毎年前年比プラス、東京圏は2014年以降毎年プラス、大阪は2014年以降±0付近です。また三大都市圏全体でも2014年からプラスになっています。
図2はこの調査の初回1976年(昭和50年)からの推移です。まず目につくのは1980年代後半からのバブル期の激しい上昇、そして崩壊後の下落です。
その後、2006年~2008年のミニバブル期も近年では大きな上昇でした。が、3年だけの盛り上がりでした。
2013年から現在までは、前年対比の数字はミニバブル期には及びませんが、確実に毎年プラスになっています。東京圏、名古屋圏を中心に、年々地価が上がっているという状況が4年も続いているということになります。特に東京の中心エリアの伸びはここでは詳しく表れていませんがかなりの数字になっています。この傾向は、ミニバブルと呼ばれたころよりも上昇継続性を感じられます。
現在の不動産市況を見ていると、昨年に比べてそれほど大きな上昇はありませんが、確実にいい状態をキープしています。この状況は少なくとも東京都心においてはしばらく続くと思われます。投資用不動産の購入のタイミングを見計らっている方はこうしたことを念頭におかれるといいと思います。