2017年3月21日に地価公示が発表されました。
今年の地価公示では、9年ぶりに住宅地(全国)が僅かながらプラスになったことがメディアで大きく報じられました。
3大都市圏では2014年以降からプラスになっていましたが(大阪圏の2014年は僅かにマイナス)、全国での算出でのプラスは不動産市況の盛り上がりをうかがえます。大都市だけでなく、地方大都市でも市況は活況のようです。
住宅地において、約18000の全国住宅地での上昇地点と下落地点の数を比較すると、なお下落地点が多いことから、価格上昇と下落の二極化が進んでいることが鮮明となっています。
一方、商業地(全国)は、2年連続でプラス。昨年よりも上昇率は大きく、プラス1.4%(前年は0.9%)となりました。三大都市圏の上昇もさることながら、地方大都市の上昇が目立ちました。
3大都市圏では東京の好調ぶりが目立つ
図1は、2006年から今年までの3大都市圏(住宅地)における、前年増減率を示したものです。(実数ではないのでご注意してください。)
これをみると分かるように、3大都市圏のうち、大阪はギリギリのプラスで、名古屋は昨年まで結構な上昇率でしたが、ここにきてブレーキがかかっています。一方、東京エリアの上昇率は引き続き好調なことが分かります。
1年後の2018年はどうなっているのでしょうか? 正確な予測はできませんが、わずかな上昇か横ばいが大筋の予想で、間違っても大きな下落はないと思われます。
地価公示の「地価」はどうやって算出されるのか。
毎年3月下旬に発表されるこの地価ですが、これは「地価公示法」という法律に基づき、国土交通省土地鑑定委員会が標準地を選定し、その土地の1月1日時点の更地状態での評価額を算出します。
更地での評価を行うのは、建物の古さの違いや建築費用の違いといったいろいろな特徴が反映された価格は、それぞれの比較がとても複雑で難しくなるため、土地の本来の価値を示すために、建物が建っている現在の土地ではなく、更地としての評価をしているのです。
また、実際の評価を行うのは、委託を受けた不動産鑑定士です。「1地点について不動産の鑑定評価の専門家である2人の不動産鑑定士が各々別々に現地を調査し、最新の取引事例やその土地からの収益の見通しなどを分析して評価を行います。さらに、地点間や地域間のバランスなどを検討し、国土交通省の土地鑑定委員会が公示価格を決定しています。」と国土交通省のHPにも記載があります。
地価公示の30年を振り返る
ここで、地価公示の30年を振り返ってみましょう。
図2のグラフは、1984年~2017年までの34年の地価公示(全国・全用途)の推移です。
1980年代後半、バブル期の地価上昇の凄さがうかがえます。一般にバブル崩壊と言われるのは1990年の終わり頃ですが、地価においては、1991年~1992年頃がピークでした。その後、地価は大きく下落を続けます。下落幅の拡大が1994年まで続きましたが、ITバブルと呼ばれた2001年~2002年頃、再度価格は上昇しました。
その後、再び低迷し、次に上昇するのはミニバブルと呼ばれる2006年~2008年頃になります。その後、リーマンショックで2009年には大きく下落します。
そして、2014年以降再び上昇しました。上昇幅は小さいですが、4年連続のプラスは、ミニバブル期に匹敵するものです。
バブル崩壊以降の日本の不動産市況は概ね7~8年周期での市況の変化が見られます。このサイクルが続くとすると、東京五輪の前年(2019年)ごろと、その7年後の2026年(リニア東京⇔名古屋の開通の前年)に再び活況が見込まれます。
東京への人口流入は、地方都市の人口減少とは逆に、今後も増えていくことが予想されています。東京五輪に向けた開発ラッシュは、これからも加速します。また、首都圏の主要エリアでいくつも動き始めている再開発にも期待が持てそうです。