リオでのオリンピックが閉幕し、いよいよ次は2020年の東京オリンピックです。現在、オリンピック開催に向け、東京ではさまざまなインフラ整備や事業が進められており、それに伴って雇用が促進されるなど多くの経済効果が期待されています。では、不動産においてはどのような影響を及ぼすのでしょうか?ここでは、オリンピックがもたらす不動産投資への影響について考えてみましょう。
オリンピックがもたらすもの
現在、日本全体を見ると非正規雇用者が多く、正規雇用者の数は落ち込んでいます。
しかし、東京では、オリンピックが開催されることで新国立競技場などの会場設営工事はもちろん、交通インフラも整備され、さまざまな面で雇用が生まれています。
中央区晴海エリアに誕生する選手村は、オリンピック後には約6000戸規模の住宅になることが決まっており、他のオリンピック施設もその後の転用を含めた大規模な開発が進められています。
1964年の東京オリンピックでできたこと
1964年の東京オリンピックが決まったのは1959年の5月です。
この開催までの5年間に東海道新幹線や東京モノレール、地下鉄・道路整備など、およそ7450億円の巨額な開発が行われました。東京を縦横無尽に駆け抜ける首都高速道路もこのときに誕生しました。まさに、現在の東京の基礎は1964年のオリンピックをきっかけに作られたと言えるでしょう。 また当時のオリンピック後は、街だけでなく仕事にも大きな変化をもたらしています。 現在では当たり前のファミレスや警備保障事業、衛星放送技術、コンピュータによる管理などは、このオリンピックで培われたノウハウや技術が基に発展したと言われています。つまり、オリンピックは「これまでできなかった事ができるようになる」イベントと言っても過言ではないのです。
2020年のオリンピックへの期待
現在、2020年のオリンピックに向けて、様々な開発や変化が進められています。 前回と異なり、先進国の大都市として迎えるオリンピックで、既にできあがったところに更なるインフラ整備や再開発が行われることで、東京の街も更なる進化が見られることは間違いありません。次の東京オリンピックは代々木・神宮前を中心とした「ヘリテッジゾーン」と、臨海エリアを中心とした「東京ベイゾーン」の2つがメイン会場となり、都心を中心として8㎞圏内に全ての会場を集積した、コンパクトなオリンピックとなる予定です。
都心はどう変わる?
現在、六本木から虎の門エリア、丸の内や大手町・日本橋エリア、新宿や渋谷エリア、品川・田町エリア、臨海エリア、羽田空港など、国際化に向け多くのプロジェクトが進んでいます。これらがオリンピックと相まって、今までになかった都市空間が産まれようとしています。たとえば新虎通りです。オリンピック決定前から整備されていた虎の門と新橋を繋ぐ大通りで、パリのシャンゼリゼ通りにちなんで開発が進められています。この通りは偶然にも2つのオリンピック会場をつないでおり、今回の“オリンピック通り”とも言えるでしょう。他の再開発エリアも同様に今後の進化は見逃せません。
オリンピック後も進む東京の進化
東京都は2011年にアジアヘッドクォーター特区を国に進言し、国際化へと進み出しました。 その後、それは国際戦略特区として国が推進しています。アジアヘッドクォーター特区の構想は「世界で一番ビジネスのしやすい国際都市を作る」というものです。以下の3つを都市づくりの軸としています。
- 外国企業が日本企業とビジネスしやすい環境づくり
- 24時間活動する国際都市への環境整備
- 外国人が暮らしやすい都市づくり
たとえば「外国人が暮らしやすい都市づくり」においては、これまで規制などにより整備が遅れていた外国人向け医療環境の充実が取り組まれています。他にも“東京の弱点”と言われていた、文化・交流と交通・アクセスの改善も進められています
オリンピックが開催される2020年以降、不動産は下火になると言う人もいます。果たしてそうなのでしょうか? 2012年に先進国の大都市としてオリンピックを開催したロンドンでは、オリンピック後も不動産価格は上昇しました。東京では、2020年以降に本格化する羽田空港の国際化や2027年のリニア中央新幹線の開業など、オリンピック開催後にも大きな期待が待っています。世界有数の潜在能力を持ち、今まさに世界に発信し始めた東京が、オリンピックにより世界中の人々にますます注目されることは間違いありません。2020年以降、必ずしも不動産が下火になるとは言い切れないのかもしれません。