ワンルームマンションの不動産投資は、節税にもなることでも有名ですが、実は誰にでもおすすめできるというわけではありません。
そこで今回は、不動産投資の節税効果と、節税目的の不動産投資をおすすめできる人・できない人をご紹介していきます。
ワンルームマンションを使った節税の仕組みを抑え、最も効果が高いタイミングで節税対策に使用するようにしましょう。
【目次】
1.ワンルームマンション投資で得られる節税効果
2.所得税と住民税の節税効果
所得税
住民税
3.節税目的のワンルームマンション投資がおすすめな人
年収が短期的に増えた
定年退職が近い
4.節税目的のワンルームマンション投資がおすすめでない人
5.まとめ
1.ワンルームマンション投資で得られる節税効果
不動産投資をした場合、以下の税金について節税効果を得られます。
・所得税
・住民税
・相続税
・贈与税
所得税や住民税の節税メリットは「不動産投資にかかった経費を計上することで所得を下げ、所得税を節税できる」という点です。
また、相続税と贈与税については、自分自身にメリットがありませんが将来引き継ぐ相続人に節税効果があります。
今回はこの中でも、所得税と住民税の節税に焦点を当てて、ワンルームマンションの節税効果についてご説明していきます。
2.所得税と住民税の節税効果
それでは所得税と住民税の節税効果を具体的に見ていきましょう。
所得税
損益通算と言って、不動産賃貸の損益とサラリーマンとしての収入は合算可能です。
例えば、給与収入が400万円で不動産収入が100万円の人がいたとします。
不動産運用に200万の経費がかかっている場合、「400万+100万-200万=300万円」となるため、300万円の部分に対して所得税が課税されます。
不動産運用をしていなければ、400万円に対して税金が発生していたため、100万円分の節税効果があることになります。
例えば、税率が20%で計算すると、20万円分の所得税が減額されることになります。
また、経費の中には、減価償却費が含まれます。サラリーマンにはなじみがない言葉かもしれませんが、減価償却とは、長期的に使う建物や備品などを買った一時的な支出を、複数年に分けて経費計上することです。
建物は購入時から毎年劣化していくので、その分を資産の目減りと考え、経費として一定年数計上できます。支払っていない代金を経費として計上できることになります。
物件によって減価償却費は変わってくるため、節税目的で投資を行うのであれば、興味のある物件は減価償却費がいくらになるのかを計算するようにしましょう。
住民税
住民税は、所得税と同じように損益通算をして決定しますので、所得税が減額されていれば、同じように住民税も減額されることになります。
3.節税目的のワンルームマンション投資がおすすめな人
ここまで見てきたように、節税のポイントは経費計上にあります。
経費が不動産収入を上回れば節税できるため、節税効果が大きくなればなるほど不動産所得が赤字となり「儲かっていない」という状態になります。
つまり、「損をしているから税金を減らしてあげますよ」ということになります。
逆に読むと、ワンルームマンション投資がうまくいっているならば「儲かっているので税金を納めてください」ということになります。
不動産投資のために物件を購入した年には物件購入にかかる手数料、税金その他を支払うため、「儲かっていないけれど節税はできた」という状態になることがほとんどです。
もちろん、購入した翌年からはあまり経費がかからないので、不動産所得は黒字に転じる可能性が高くなります。いつまでも節税ができるというわけではありませんし、逆に税額が増えてしまうかもしれません。
こうしたことを踏まえると、ワンルームマンションを使った節税は、すべての人におすすめというわけではなく、特定の人におすすめということになります。
それでは、節税目的でワンルームマンション投資をおすすめできる人の特徴をご紹介していきます。
年収が短期的に増えた
ある年に限り年収が大きく上がった場合、当年の所得税と翌年の住民税が急増してしまうため、ワンルームマンションを使った節税はおすすめです。
年収が上がる年に、不動産投資用のワンルームマンションを購入することで、購入時の諸費用などの一時金を経費として計上し赤字を多く出せるため、所得税と住民税を節税できます。
不動産投資で短期的に赤字になって儲からなくても、その年は節税が目的なので構わないのです。もちろん、翌年もしくは翌々年には黒字になりますので、事業としては安定しています。
イメージ的には、次のようになります。
※便宜上家賃収入は含めていません。
定年退職が近い
定年退職予定の人が退職前にワンルームマンションを購入すると、その年は短期的に赤字になるので節税できます。
退職後は給与収入がなくなり不動産所得のみとなるので、給与所得+不動産所得の場合よりも所得が少なくなる関係で税率も低くなり、納税額も抑えられるでしょう。
イメージ的には、次のようになります。
ただし、退職間近になると不動産価格の100%の融資は受けづらくなります。
不動産価格の半分程度の自己資金を用意し、退職後の資産運用も兼ねた検討が必要です。
4.節税目的のワンルームマンション投資がおすすめでない人
反対に節税目的でワンルームマンション投資をしない方がいい人は、「年収の変化があまりない人」です。
ワンルームマンションを購入したその年は赤字になるので節税できますが、翌年から不動産投資が黒字化した場合は給与所得+不動産所得に対応した税金を支払わなければなりません。
初年度に節税できても、次年度以降に納税額が増えるのでは、結局意味がありません。
これでは長期的に見て節税のメリットが薄いため、節税を目的にするのであれば他のタイミングで不動産投資に参入することをおすすめします。
イメージ的には、次のようになります。
5.まとめ
不動産投資が所得税・住民税の節税対策になるのは本当ですが、ほとんどの人が効果的に節税できません。
節税を目的にワンルームマンション経営をするのは、一部の方を除いて向きません。
あくまで、将来の年金対策や、生命保険代わりを念頭に、所得税、住民税の節税は「おまけ」程度に考えることをお勧めします。