人生100年時代と言われ始めてから、老後の2000万円問題、年金受給開始年齢の引き上げなど、高齢化社会に関する様々な課題が浮き彫りになっています。
そうした背景と2020年からはじめったコロナ禍により、国民のライフスタイルや考え方が大きく変わってきています。
投資の分野では、ネット証券が話題となり投資する方々が増え、不動産も安定した価値を保っていることから、安定した投資先として脚光を浴びています。
今回は、これから不動産投資を始めようと考えている方々のために、マンション投資歴3年以上で、コロナ禍においてもマンションを購入した50代以上の3名の方々に対してインタビューを行いました。
※名前は仮称となります。
インタビューをした方々/自己紹介
■ 山口さん:埼玉県在住57歳男性/既婚(所有物件数:10物件)
はじめまして、山口と申します。家族は私と妻と2人です。年齢は56歳で、日用品の卸売業の会社に勤めています。
■森下さん:東京都在住66歳女性/既婚(所有物件数:6物件)
森下です。文京区に住んでいます。今は夫と2人暮らしですが子供が2人います。翻訳の会社を経営していましたが、会社は息子に継承しました。もう高齢なので縛られることなくリタイア生活を送っています。
■中山さん:東京都在住60歳男性/独身(所有物件数:11物件)
中山です。今年で勤めておりました会社を退職して、自分の新しいビジネスを起業しています。輸入や輸出のビジネスを立ち上げ始めました。家族は私と妻と猫が2匹います。
皆さん全員、旅行が趣味で、コロナ前は色々なところに旅行に行き、ダイビングをされている方もいました。
コロナ禍で旅行は行けなくなってしまいましたが、散歩、エステ、トレーニングなど、精力的に活動されています。
そんな方に対するインタビューです。
不動産投資の情報収集は?
---マンション投資の情報収集方法を教えてください。
山口:マンション投資に関しては、2018年からはじめたので、それほど経験があるわけではありません。
情報収集は、新築のデベロッパーさん、あと中古マンションを販売されている業者さんから情報収集をしています。
あとは、不動産投資会社のやっているセミナーに参加します。その中で良い物件に巡り会えば購入している状況です。
森下:自分はものぐさなので、自分で調べたりとかはほとんどなく、不動産会社の方に紹介された物件の中で気に入ったものを購入しています。
自分が住むマンションを探す時にはいろいろ情報収集しましたが、投資用マンションはほとんど不動産会社の方に紹介された物件を購入しています。
中山:不動産会社の方々からの情報収集が多いです。
不動産投資専門のサイトなども見ますが、物件を結構持っているので、色々な不動産会社の方々からたくさん連絡がきて、そこから情報を収集しています。あとは不動産投資会社のセミナーに行って、不動産物件の持ち方や出口戦略なども学んだこともあります。
マンション投資を始めた時期ときっかけは?
---マンション投資をはじめたきっかけを教えてもらえますか?
中山:不動産は自宅の物件も含めて元々興味があり、失われた20年といわれるバブル崩壊後の大変な時期を経て、まず、2002年に自宅を購入しました。
ただ、投資マンションはまだ自信がなくてすぐには購入しませんでした。
その時に不動産投資会社の方から電話営業があり、疑問に思うことやわからないことなどを最初は100項目ぐらい箇条書きにしてFAXで送りました。そうしたやりとりを2ヶ月ぐらい、合計で300項目ほど行って、ほとんどの不安を払拭してくれたので、紹介された物件を購入しました。
森下: 30年ぐらい前に大久保のマンションを2件購入したのですが、当時ローンで購入して、最初の入居者が出てから次の入居者がなかなか決まらなかったのですぐに手放したら、結局マイナスだったという経験をしました。
すごく痛い目にあったと思っています。その後は、しばらく不動産投資から遠ざかっていました。
会社の事業承継はうまくいったので、今度は自分自身の方も何とかしようと考え、今年になって相続を考えはじめました。そんな時に、たまたま不動産投資会社の営業の方と話して、勧められたマンションを立て続けに3件購入しました。
山口:私の場合は、投資というよりも相続対策です。今、80代半ばの両親がいるのですが、両親が70代後半くらいから相続を意識し始めました。
というのは、父親が元々アパート中心の不動産会社をやっていましたが、数年前に、リタイアしてアパート一棟を現金化したのです。
やはり、現金で持っているより、何か賃貸系の不動産に替えた方がいいと考えて、不動産投資を研究しはじめました。ビルなども含めて、商業系と住宅系など、全部調べて、その中でワンルームマンションが候補に入りました。
その時に、ある不動産会社の主催したセミナーで、相続対策としてお勧めはワンルームだと教えられてマンション投資を本気で考え始めました。そうした考え方がまとまったのがちょうど3年ぐらい前でしたね。
物件の選び方は?
---物件の選び方を教えてください。。
中山:不動産会社の営業マンから物件を紹介いただく時に、パンフレットをいただき、近隣の状況や利便性など、全体的に教えてもらいますが、自分自身が住みたいエリアかどうかは1つの大きな基準になっています。
その後、駅からの距離や物件までどういった経路で歩くのか、途中に危険がないのかを見極めます。女性が夜遅く帰る際に、少しでも危険なエリアがある場合はその物件は避けます。
あとは、近隣の飲食店、スーパーマーケット、銀行など、生活に必要なものがどれだけ揃うかを確認します。
そこで自分が大丈夫だと思った物件は、購入前に必ず現地に行って、周りの状況を自分で歩いてみて、帳簿等も含めて全部確認をしたうえで購入をするかどうかを決定しています。
エリアは、新宿か東京駅に出やすい主要駅が多くて、そこから駅近の物件ということで選んでいます。
森下:中山さんが言ったように、自分がまず住んでも良いかどうかは判断基準のひとつです。現地調査は行っていません。とにかく駅近で、女性が住んで快適なマンションという視点で考えます。
以前、女性の入居者が引っ越しする際に同行させて頂いたのですが、部屋を綺麗に使われていて、やはり女性は良いのかなと思いました。
なかには女性でも、汚部屋があるという話もあるので女性がすべて良いかというわけではないですけど、やはり女性のほうが綺麗に使っていただけるのかなと思っています。
結果的に、所有している物件はすべて土地勘のあるところばかりです。すべて山手線の内側で千代田区とかが一番多いです。エリア的には割高ですが、やはり入居者が絶えることがないので良いと思っています。
山口:条件はたぶん皆さんと一緒です。教科書通りですが、港区、品川区、渋谷区、目黒区、文京区ぐらいを考えて、前もって不動産会社の営業マンに伝え、そこで物件が出てくれば検討しています。
どちらかというと女性が入っている部屋を選びます。先入観があるかもしれないですが、以前の仕事でマーケティングをやっていた際に、女性が好むガソリンスタンドは男性も必ず来るというケースが多く、スーパーマーケットもそうでした。
女性が好むところには必ず男性もついてくるので、女性が好む物件、女性が好むエリア、ここが大事かなと思っています。また、女性の方が入居するなら、なんとなく部屋も綺麗に使ってもらえるんじゃないかという期待感もあって、女性が入居している部屋を選ぶことが多いです。
今度は不動産投資をどのように運用するのか?
---不動産投資は今後どうされますか?
森下:相続対策として不動産を購入したのでこのまま保有していると思います。キャッシュで残すより不動産で残すほうが私は絶対に良いと思っています。
山口:私の場合も相続対策です。圧倒的に父親が多くの物件を持っていて、これは相続されるまでずっと持っているつもりです。
相続が終わった後は、私と弟で考え方が違うでしょうが、相続で手に入った物件のため、私は基本的に所有しておこうと思っています。
今後、自分自身が追加で購入するかはまだわかりません。他の投資商品比べての判断になるのと、なんとなく利回り不足かなと思うところがあって、そこはまだ踏み切れないでいます。
中山:マンション投資をスタートした時は、良い場所であれば、30年間持っていても負けることはないと思っていて、ずっと保有しておくのが一番賢いと考えていましたが、ここ数年で2物件売却しました。
マンションを持っていると不動産会社の方からよく声がかかるのですが、結構高い価格が出てきて、売却した方が利益が出る計算だったので売却しました。最近、不動産の市況状況によっては売却する選択肢もあるのかなと思っています。
不動産投資の展望は?
---今後不動産投資はコロナ禍も含めてどのようになっていくと思いますか?
山口:色々な方が多くのメッセージを発信していますけど、東京という場所の特質性で考えると、コロナの影響を受けて、テレワークを行う方が郊外に引っ越す現象も一時的にはあったようですが、そういう方々は家庭を持っている方が多いような気がします。
私がやっているのは単身者向けのマンション投資なので、利便性の高い東京の人気は衰えないだろうという考えています。
森下:山口さんが言ったように、コロナ禍で郊外に引っ越された方もいると思いますが、やはり東京の中心地にあるということの利便性は強いと思っています。
あと会社で借り上げるケースもありますので、大丈夫じゃないかなと。立地的に良ければ、問題ないと思っています。
中山:山口さんや森下さん言っていた通りで、東京の利便性の高いところには、単身の方は引き続き住み続けるだろうと思っています。
本当に田舎が好きな方が東北に移住したり、サーフィンが趣味で千葉に移ったり、一部はそういう方がいらっしゃると思いますが、そうではないほとんどの方は、都心の便利さや医療体制などに慣れているため、引き続き都心に住むと考えられ、少々高い物件でも負けないだろうなと思っています。最近では、不動産投資は改めて見直されていると私は感じています。
今回のインタビューを通して…
今回、不動産投資歴の長く投資経験の長い方にインタビューをしましたが、皆さん、失敗を含めた様々な経験のなかで、投資全体のなかでの不動産投資を考えて運用されている印象がありました。
また、不動産投資の情報収集に関しては、不動産投資会社の担当営業マンからの情報収集がメインでとなっているようです。
今後不動産投資をお考えの方は、今回のインタビューをぜひ参考にしてみてください。