近年、不動産投資は「お金持ちがする投資」ではなく、サラリーマンでも行える投資へと変化してきてきました。
低金利のため銀行からの融資も受けやすくなっていることも、これから投資を始めたいサラリーマンにとって追い風になっています。
投資を始めるハードルこそ低くなったものの、リスクなどをきちんと把握しないと失敗してしまい、今後の先行きすら見通しを立てることが難しくなるでしょう。
今回は、サラリーマンが不動産投資で負け組になる8つのパターンと失敗しないために抑えておくべきポイントをご紹介していきます。
【目次】
1.サラリーマンでも簡単に不動産投資は始められる
2.サラリーマンが不動産投資を行う5つのメリット
①.管理の手間がかからない
②.所得税・住民税が節税できる場合がある
③.生命保険の代わりになる
④.私的年金の確保ができる
⑤.インフレに強い
3.負け組になる8つのパターン
パターン①.少ない情報で判断しようとする
パターン②.自分の予算を重視しすぎる
パターン③.手元資金の用意をしない
パターン④.節税対策を目的にする
パターン⑤.本業を疎かにする
パターン⑥.賃貸管理会社選びを怠る
パターン⑦.リスクの取り切れない物件を買ってしまう
パターン⑧.決断が遅い
4.不動産投資で失敗しないために抑えておきたいポイント
優良物件を見抜く目を養う
リスクに備える
賃貸管理会社選びも大切
経営者としての自覚を持つ
5.まとめ
1.サラリーマンでも簡単に不動産投資は始められる
不動産投資は富裕層向けの投資と思われがちですが、実は「サラリーマン大家さん」という言葉があるほど資金的なハードルが低い投資です。
書籍やネット記事を読めば、サラリーマンが不動産投資で大きな利益を得た成功例をたくさん見つけることができます。
実際にそれらの情報を読み、興味を持って不動産投資に参入するサラリーマンもいるかもしれません。
しかし、簡単に始められることと、簡単に儲けられることはイコールではありません。
賃貸の需要がなければ賃料収入を得ることができませんし、物件の問題点を見逃していたせいで、大きな損をする可能性も考えられます。
2.サラリーマンが不動産投資を行う5つのメリット
まずは、サラリーマンが不動産投資を行うメリットから紹介していきます。
メリットとしては、主に以下の5つが挙げられます。
①.管理の手間がかからない
②.所得税・住民税が節税できる場合がある
③.生命保険の代わりになる
④.私的年金の確保ができる
⑤.インフレに強い
①.管理の手間がかからない
サラリーマンが不動産投資を行う最大のメリットは、「管理の手間がかからない」ということです。
物件の管理や家賃の督促までを管理会社に委託できるため、基本的に自分ですることは毎月の振込確認程度になります。
管理委託のパターンには、賃貸管理だけを依頼する管理委託契約や、管理会社がオーナーの物件を借り上げ、一定期間定額または定率家賃を保証するサブリース契約などがあります。
ただ、サブリース契約は手数料などがもったいないケースも多いため、あまりおすすめしません。
②.所得税・住民税が節税できる場合がある
不動産投資を行うことで、所得税・住民税が節税できる場合があります。
所得税は不動産所得が赤字となることで、給与所得など他の所得との損益通算が可能になり、確定申告で所得税の還付を受けることができます。
つまり、不動産所得が赤字であればあるほど、所得の合計が少なくなり、所得税を節税することができます。
住民税は、所得税の納税額をベースに算出されるため、損益通算で所得税を節税できれば、住民税も節税することができます。
③.生命保険の代わりになる
団体信用生命保険に入ることで、所有者が死亡したり、事故で重度の後遺障害を負ってしまうなど、万が一のことがあった際に、ローンの残債を全て保険金で完済されます。
遺族には無借金の不動産が残り、家族はその物件を賃貸して家賃収入を得たり、売却して現金化したりすることができます。
④.私的年金の確保ができる
私的年金を確保できることも大きなメリットです。
例えば、30歳で35年ローンを組み、マンション投資を始めたとします。すると、65歳以降は毎月、家賃収入から管理・修繕費などを除いた分が自分の収入になります。
また返済期間が残っていても家賃収入で返済でき、資金計画を立ててしっかり立てておけば毎月少額でも収益を得られます。
⑤.インフレに強い
不動産投資はインフレ対策に最適だと言われています。
理由としては、物価の上昇とともに不動産価格も上がっていくため、資産価値が大幅に下落することは考えにくく、家賃も上昇していくからです。
3.負け組になる8つのパターン
「勝者の影に敗者あり」という言葉がありますが、不動産投資でも勝ち組、負け組とはっきり明暗が分かれます。
負け組になってしまう人は、以下の8パターンのいずれかの要素を持っています。
パターン①.少ない情報で判断しようとする
少ない情報で判断することは、投資を行う上でとてもリスクが高いです。
特に多いのが、担当者の話を鵜呑みにしてしまい、物件をまともに見ないまま不動産投資を始めてしまうというもので、こうした方法は失敗する確率が上がってしまいます。
サラリーマンとして仕事をしているときは、さまざまな情報を元に判断するのが当たり前ですが、自分で投資をするときにはなぜかそれを怠ってしまう人が多いのです。
不動産投資は1つの事業を行うのと同じですので、さまざまな情報集めたうえで比較検討を行いましょう。
パターン②.自分の予算を重視しすぎる
投資において予算を決めることは大切ですが、あまりに予算にこだわりすぎると、予算内で買えるものに妥協して購入してしまいがちです。
予算ばかり気にした結果、「安定した家賃収入が見込める物件」ではなく「予算で買える物件」を選んでしまう可能性があります。
「予算で買える物件」では、築年数が長く老朽化していたり、設備に不具合が多いなど物件のスペックの問題で借り手が付きにくくなる可能性も考えられます。
不動産投資の目的はあくまでも利益を得ることであって、物件を買うことではないことを常に考えておきましょう。
パターン③.手元資金の用意をしない
資金をすべて物件に注ぎ込んでしまうと、多くの場合は失敗します。
中古物件を購入した場合、物件の老朽化を確認できず購入することが多いため、予期せぬ修繕費が発生する可能性があります。(こうした面からも、私たちは新築物件を推奨しています。)
また、入居者の入れ替えのタイミングでは清掃や修繕などで少なからず費用と空室期間が発生します。その費用の準備もしておく必要があります。
企業ではリスクを考えて引当金や余剰資金を用意しているため、それにならい、自分で不動産投資をするときも、何かあったときのための資金を手元に残しておきましょう。
パターン④.節税対策を目的にする
先程ご紹介したように、不動産投資では節税効果を得られることがあります。
高年収で所得税の税率が高い人(最大45%)ならば、節税することで高い節税効果を得ることができます。
しかし、一般的な年収の方であれば、所得税の税率がそもそも低いので、節税効果はあまり期待できません。
また、不動産投資の本分は節税ではなく家賃収入を得ることであり、節税効果はおまけのようなものですので、節税を目的とした投資はおすすめしていません。
パターン⑤.本業を疎かにする
本業を疎かにしてしまうことも典型的な負けパターンの1つです。
中には、不動産投資が多少軌道に乗ったからと言って本業を辞めてしまう人もいます。
しかし、サラリーマンの魅力はローン審査に通りやすい点であり、辞めてしまうと新しい不動産ローンを組みづらくなる可能性もあります。
また、仕事中に不動産投資関係の連絡が頻繁にあり、仕事が手につかなくなってしまうことが続くと、上司から煙たがられたり、本業を疎かにしているのではないかとあらぬ疑いをかけられる恐れもあります。
そのため、本業を疎かにしないことを常に念頭に置きながら運用していきましょう。
パターン⑥.賃貸管理会社選びを怠る
賃貸管理会社の実績などを見ずに選ぶと失敗する確率が高くなります。
不動産のよくある話で、賃貸管理会社の資金繰りが悪化して、オーナーに送る家賃に手を出して、最後には倒産するというものです。
最近もシェアハウス投資でニュースになっていますが、小さな賃貸管理会社では日常的にトラブルが起きています。
倒産とまではいかなくても、家賃の振り込み遅延や対応をまともにしてくれないなどのトラブルが続いては、運用に大きな支障をきたします。
賃貸管理会社選びで失敗しないためには、複数の賃貸管理会社を比較し、客付け力やトラブル対応力、経営状態といった要素がしっかり備わっているかを確認することが大切です。
パターン⑦.リスクの取り切れない物件を買ってしまう
リスクの取り切れない物件を買ってしまうことも、失敗につながる原因の1つです。
特に利回りに関しては、数値が高くても空室期間が長いなどのリスクをはらんでいる可能性があるので注意が必要です。
例えば、年収800万円で1億円の融資を受けたとします。この1億円を金利2%、35年ローンで返済する場合、毎月33万円を支払うことになります。
しかし、空室期間の長い物件に投資してしまうと、半年空けば180万円の出費ということになり、生活にも大きな影響が出てきます。
このような空室期間が長い物件は安く売りに出ているため、利回りが高いケースもありますが、リスクもはらんでいることを忘れないようにしましょう。
利回りが低くても空室期間が少ない物件に投資するなど、身の丈に合った投資をすることが大切です。
パターン⑧.決断が遅い
優良物件を手に入れるには決断の早さが大切です。決断が遅いと、他の人にその物件を先に購入されてしまいチャンスを逃すことになります。
不動産は工業製品などと違い同じものは1つもありません。
物件1つ1つとの出会いはまさに一期一会と言えます。数千万円~数億円の大きな買い物ですが、チャンスを逃さないためにも時に早い決断も求められます。
実際、決断が遅いことで優良物件を逃してしまい「縁がなかった」とあきらめてしまう方は多く、そういう方はなかなか投資にまで進めません。
良い物件と出会ったらすぐに決断することが重要です。
4.不動産投資で失敗しないために抑えておきたいポイント
ここでは、先ほど挙げた失敗パターンを踏まえて、不動産投資で失敗しないために抑えておきたいポイントを4つご紹介します。
優良物件を見抜く目を養う
まず優良物件を見抜く目を養うことが、不動産投資で失敗をしないために重要なポイントとなります。
実は、優良物件を見抜く目は、現地で物件そのものを目にすることで簡単に養うことができます。
実際に自分の目で物件を見ることで、日当たりや周辺環境、ゴミ捨て場など共用部分といった、写真やデータではわからないことを確認でき、良い物件かどうかのジャッジをすることができます。
逆を言えば、自分の目で確認しないことには絶対に物件の良し悪しはわかりません。そのため、できるだけ物件を内覧してから決めるようにしましょう。
リスクに備える
不動産投資において、起こりうる事象やトラブルはだいたい決まっています。
主なものは「空室リスク」「想定外の出費」「金利上昇」あたりで、それぞれの対処法をおおよそ決まっており、準備しておけば慌てることもありません。
空室リスクは、あらかじめ需要の高い立地の物件を購入すれば低減できますし、すでに購入している場合は家賃もしくは敷金・礼金を下げれば対処できる可能性が高いです。
修繕費といった想定外の出費に関しては、物件を購入する時点で設備・部屋の状態を確認し、今後どのぐらいの出費となるかを想定しておけば、実際に出費が生じた時も落ち着いて対応することができるようになります。
金利上昇は固定金利でローンを組んだり、繰り上げ返済することで対応できるはずです。
このようなリスクに対応するための資金や対策を用意しておくことで、いざトラブルに見舞われた際も余裕を持って対応できるようになるはずです。
賃貸管理会社選びも大切
自分の大事な物件を任せる賃貸管理会社選びも大切です。
賃貸管理会社は、主に集金代行や入居者対応といった管理業務、客付けなどを行います。
会社によっては管理業務のみを行う会社や客付け仲介を専門とする会社もあるため、これから賃貸管理を委託しようとしている会社がどこまでの範囲をカバーしているかをしっかり確認する必要があります。
経営者としての自覚を持つ
不動産投資で負け組にならないためには、自分自身が経営者として会社を経営する意識を強く持つ必要があります。
サラリーマンが本業である以上、経営の多くを賃貸管理会社などに頼ることになります。
しかし全てを任せるのではなく、自分も経営者としての自覚を持って、関われる部分については積極的に関わることが大切です。
そのためにも、自分自身で不動産投資に関する勉強や情報収集は欠かさないようにしましょう。
5.まとめ
不動産投資はサラリーマンでも行いやすい投資ですが、リスクなどをきちんと把握しないと失敗してしまう確率が高まってしまいます。
今回はさまざまな負けパターンをご紹介しましたので、これを参考に失敗しないための手堅い投資を行ってください。