2024年の都道府県地価調査(価格時点:7月1日)の結果が国土交通省より9月17日に公表されました。都道府県地価調査では、都道府県が定めた全国21436の「基準点」の地価が公表されるため、「基準地価」と呼ばれることもあります。
24年都道府県地価調査の全国平均の状況
2024年都道府県地価調査では、全国の地価は、全用途平均は1.4%の上昇でした。
2020年、2021年はマイナスでしたが、その後は価格上昇が3年連続で続いています。
住宅地は0.9%の上昇(23年は+0.7%、22年は+0.1%)で3年連続のプラスとなりました。また、商業地は2.4%の上昇(23年は+1.5%、22年は+0.5%)となりました。2017年から2019年まで3年連続の上昇のあと、新型コロナウイルスの影響を受けて、マイナスでしたが、22年以降3年連続してプラスになりました。上昇率が拡大しており、全国的に地価上昇が顕著な状況です。
東京圏の状況
三大都市圏(東京圏・大阪圏・名古屋圏)の全用途平均は4年連続して上昇、住宅地は3年連続、商業地は12年連続して上昇しました。
また、3大都市圏の平均では、全用途平均と住宅地は、昨年(23年)に新型コロナウイルスの影響前の19年と比較して、上昇率が大きくなっていましたが、24年には、商業地も19年を超える上昇率となり、2019年比で上昇率は拡大したことになりました。全国的に物価の上昇、好景気が続いており、それに連動する形で地価も上昇しています。
地域や用途で多少差があるもの、とくに三大都市圏では上昇幅が拡大しています
東京圏では全体の約9割の地点で地価上昇となりました。住宅地は+3.6%、商業地は+7.0%。いずれも前年より上昇幅が拡大しました。
東京圏とは、「東京都区部、多摩地区、神奈川県の一部(横浜市、川崎市、相模原市、横須賀市など)、千葉県の一部(千葉市、市川市、船橋市、浦安市など)、埼玉県の一部(さいたま市、川越市、川口市、越谷市など)、茨城県の一部(取手市、守谷市など)の地域」のことです。
東京23区に限れば、住宅地は+6.7%(前年は+4.2%)、全23区で上昇、また上昇幅も拡大しました。特に中央区では+12.4%、渋谷区では+10.2%と、2つの区で上昇率が10%を超えました。
一方で、葛飾区では+4.2%となっており、主要区(中心区)と周辺の区で差が出ました。
また、横浜市は+3.4%、千葉市は+4.2%となり、昨年よりも上昇幅が拡大した。
商業地では、東京23区では+9.7%(前年は+5.1%)となっており、全23区で上昇、上昇幅も拡大しました。
特に渋谷区では+13.1%、インバウンド需要が旺盛な台東区では+12.5%となっています。再開発が進むエリアでの上昇が目立っています。
東京圏の地価上昇の背景
住宅地では、世帯所得が増えていることなどから、住宅需要はかなり堅調です。
加えて金利上昇傾向にあるものの依然金融緩和政策が継続しており、住宅ローンは低金利が続いていることなどが需要の下支えとなり、地価上昇が続いています。
また、首都圏各地で再開発が進んでおり、主要地域の商業地においては、とくにホテル需要が堅調で、加えてマンション需要が旺盛な中でマンション適地が少ないことから、分譲マンション、賃貸マンション、ビジネスホテルなどが用地仕入れで競合となっており、こうしたことも商業地地価上昇の要因と考えられます。
25年の基準地価の見通し
2025年の9月に公表される基準地価において、東京圏(=首都圏)の住宅地・商業地は、今年以上の上昇が見込まれます。
とくに、前述のように用地取得競合が激しい商業地では、地価上昇が24年以上になると思われます。
懸念される金利の上昇ですが、25年夏までに政策金利の上昇が1回以上あると想定されますが、需要が旺盛なこと、また賃料等の上昇が進んでいることなどから、金利上昇がよほど大幅でなければ、影響は少ないものと思われます。
投資用マンションの価格は、このように地価上昇が続いていること、建築工事費用の上昇が続いていること、そしてこの2つの要因はしばらく続きそうであり、そして引き続き需要が旺盛(=購入希望者が多い)こと、などから、とくに新築物件においては価格上昇が続くことは(ほぼ)確実でしょう。