23年12月に国立社会保障・人口問題研究所より「地域別将来推計人口(令和5年推計)」が発表されました(人口のみで世帯数は執筆時未発表です)。
この推計は5年ごとに行われますが、5の倍数の年に行われる国勢調査に基づき、その3~4年後に推計を行い発表されます。
この推計は、2020年に行われた国勢調査をもとに、2050年までの向こう30年間を5年刻みで推計が行われています。
今回は将来人口について解説したあと、最後には近年投資用マンション建築が増えている横浜・川崎の状況を合わせて解説します。
2050年の東京の人口は20年比でプラス2.5%
これによれば、次回の国勢調査の年である2025年までの5年間には、東京都を除く46の道府県で人口が減少すると推計されています。
東京都は25年以降も人口が増え続ける唯一の都市で、20年を100とすれば35年の人口は102.9、50年には102.5となります。
東京都の人口のピークは、2040年~45年の間と推計されており、東京の一極集中が言われていますが、これからが本番のようです。
図1のように、大阪府・愛知県と比較するとその状況がよく分かります。
首都圏1都3県の人口割合は増え続ける
全国人口に占める東京都人口の割合は、2020年時点では11.1%となっており、この先の見通しでは、5年ごと刻み(国勢調査ごと)でみれば毎回増え続け、2040年には12.9%、2050年には13.8%にまでなります。
首都圏(東京・埼玉・千葉・神奈川)のうち、2025年以降も人口が増え続けるのは東京都だけですが、埼玉・千葉・神奈川でも他の地域(たとば、関西など)に比べ減少がすくないため、首都圏(本推計では南関東と表記されています)の人口割合は増え続けます。
首都圏に住む人口割合は、2020年時点では29.3%、2025年には30.0%と3割を超え、2040年には33.7%となります。
2040年の生産年齢人口では首都圏だけが増える
また、賃貸住宅需要の中心である生産年齢人口とよばれる15-64歳は2000年を100とすれば、40年に100を超えるのは唯一東京都だけとなります。
また、地域ブロックでみれば、1都3県では、15-64歳人口割合は20年では31.1%ですが、40年には34.4%と増えており、他の地域では、40年の推計では多くても17%台(近畿ブロック)ですので、首都圏の割合の圧倒的な多さが分かります。
2050年には東京都以外の首都圏各県でも人口減少
すでに、東京以外の首都圏でも、ほんのわずかずつ人口減少が始まっています。
さらに長期的に人口予測を見れば、下記グラフのように東京都以外の首都圏(神奈川県・埼玉県・千葉県)でも、他の大都市よりも減少は少ない予測ですが、それでも減少する見通しです。
投資用マンションが多く建築されている横浜・川崎では世帯数は増えている
しかし、住宅需要、とくに賃貸住宅(賃貸マンション)需要は世帯数の方が大きな影響を持ちます。
前述の「地域別将来人口推計」では、まだ世帯数の将来推計は公表されていません。そこで、直近の主要都市の動向を見てみましょう。
若年層人口流入の多い東京23区では、2040年くらいまで世帯数が伸びる見通し(2019年時点の将来推計)となっています。
では、すでに少しずつ人口している東京都以外の主要都市の動向を見てみましょう。
東京23区に次いで首都圏で人口が多いのは横浜市と川崎市で、「ほぼ東京」といってよいような横浜市や川崎市では23年に多くの投資用マンションが建築されました。
横浜市や川崎市の人口・世帯数の動向はどうなっているのでしょうか。
横浜市の人口は21年のピークに減少すると予想されていました。横浜市が24年1月に公表したデータによれば、2019年10月1日時点の世帯数は171.0万世帯、人口は374.8万人でした。
その4年後の23年10月1日時点では世帯数は179.9万世帯、人口は377.1万人となっており、この5年間で世帯数は5%の増加、人口は0.6%増えました。
確かに、人口は21年の3,777,491人をピークにわずかに減少していますが、一方、世帯数は増加しており、24年1月1日時点では180万世帯を超えました。
川崎市の2019年年末の人口は153.0万人、世帯数は74.0万世帯でした。23年年末では154.5万人、77.2万世帯と人口・世帯数とも増えています。
このように世帯数でみれば、まだまだ増加している状況となっています。
このあと公表される、「地域別将来世帯数推計」は、マンション投資では重要な指標となりそうです。