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【2024年12月】賃貸住宅の空き家(空室)率の変化と意外に高い率の理由

不動産投資(区分マンション投資)を行う投資家にとって空室率は、たとえ賃貸住宅需要の多い首都圏の物件を持っていても気になるものです。しかし、メディアが報じる空室率の状況は、「空室率が高くなっている」という内容が多く、例えば東京でも20%近かったりして、「本当かな?」と思えるものが多いようです。

賃貸住宅の空室率についてのデータはいくつか公表されていますが、調査方法・算出方法が異なるため、なかなか比較しづらくなっています。
ここでは5年に1度調査・公表される総務省「住宅・土地統計調査」を見てみましょう。

賃貸住宅の総数と空き家(空室)率の推移(全国)

総務省「住宅・土地統計調査統計」より作成

(総務省「住宅・土地統計調査統計」より作成)

上のグラフは、賃貸住宅の総数とそのうちの空き家数の推移を、1998年から5年ごとの調査結果6回分として示しています。
これをみれば、これまでに比べて、直近5年は賃貸住宅の総数の増加が多かったことが分かります。一方で、空き家数(空室)は、2008年から微増が続いていますが、大きな増加傾向にありません。そのため、近年の賃貸住宅の空き家率は18%台後半で推移しており、23年分では率は下落しています。
首都圏の状況を見れば、東京都は23年11.0%(前回18年:10.6%)、神奈川は9.8%(同10.8%)、埼玉県9.4%(同10.2%)、千葉県12.3%(同12.6%)、と概ね減少傾向にあります。

この総務省「住宅・土地統計調査」の調査方法は、インターネットアンケートに加えて、調査員の目視での調査、建物所有者(あるいは管理者)への聞き取りなどとなっています。

賃貸住宅の本当の意味での空室は、「募集していても、入居者が付かない部屋」つまり、需要が満たされない部屋がどれくらいあるか、と考えれば、 入替時修繕のため募集していない、建替え工事予定の為募集していない、築年数がかなり古いにも関わらず対応していない、など「募集意欲のない」物件を加味すれば、賃貸住宅の空室は増えます。また1棟の中で満室稼働の物件を分母に入れるかどうか、など算出方法によっても数字が変わります。ネガティブ報道をしたいメディアが取り上げる数字は、このようにしてかさ上げされるのです。