新規登録物件の平均㎡は縮小傾向に
今回は、首都圏の中古マンションの成約物件を「需要」、新規登録物件を「供給」に見立て、平均面積や築年数など分類別で考察することによって、需要と供給の現状を見ていきたいと思います。
図表1:成約物件と新規登録物件の平均面積とその差
(東日本レインズ資料より作成。以下同様。)
上のグラフは、平均面積の推移を成約・新規ごとに追い、各年の差を棒グラフで示したものです。
黄色で示した成約面積は横ばいに近い状態で若干縮小傾向にありますが、新規登録物件の面積では、縮小化が顕著に起こっています。
そのため、成約と新規登録での面積差は拡大傾向にあると言えます。
テレワークの浸透で在宅時間が長くなる中で、より快適な暮らしを送るため『広さ』も需要側の重要なポイントとなっていますが、新規登録件数である「供給」物件は、需要に応えきれていない実情が見えてきました。
「築10年以内」と「築20年超」で成約率に大きな区切りも
図表1:築年数別対新規登録成約率(%)
最も成約率が高いのは築6~10年の層で、次いで築11~15年、築0∼5年となっています。
築5年以内の物件は、売主も強気で価格設定をしている可能性が高く、価格の面で折り合いがつかず、成約に至っていないことが考えられます。
また、築年数20年を超えると成約率が大きく下がっていきます。このことより、成約率では「築10年以内」と「築20年超」において、大きな区切りが存在すると言えます。
図表3:築10年以内の物件が占める割合と成約物件と新規登録物件の差
次に「築10年以内」の物件が、成約・新規登録物件それぞれに占める割合を見ていきましょう。
2022年では成約物件のうち23.7%が築10年以内の物件でしたが、供給された新規登録物件では15.2%しかなく、乖離があります。
需要の高い築浅の中古マンションでは、面積同様、需要と供給の差が年々広がっている状況が分かります。
コロナ禍を経て、住まい選びの基準に大きな変化が見られました。
一方で、今回のデータからは需要に対して供給側の条件面が追い付いていない現状も見えてきました。
今後は、「グレード」「築年数」「面積」などにおいて条件がいいものは、高額でも取引がされ、そうでないものとの二極化が進んでいくと考えられそうです。