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【2021年6月】コロナ禍での東京への人口流入、流出

東京人口移動の歴史

図表1:転入超過数の推移


(総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」より作成)

図表1は、東京都と東京23区の転入超過数の推移です。バブル期は東京都心の地価が高騰し、都内の物件が高騰したため、人々は郊外に住まいを移すことになります。
更に、バブル崩壊による景気の後退に伴い東京圏への転入超過数は更に減少し、1990年代前半までは転出超過が続きます。
1990年代後半以降は住宅価格も落ち着きを取り戻したことで、再び東京圏への転入超過が拡大しました。

更に、2000年代に入ると、都心各地で再開発が進みタワーマンションなどが多く建てられるようになるなど、東京都心に住宅が増えていくことで、現在に至るまで24年間連続で転入超過が続いています。
しかし、2020年は、新型コロナウィルス感染拡大の影響で、転入超過数が大きく減少しています。
とはいえ、世界的に移動が制限された中でも、転入超過であった東京の求心力の高さを表しているとも捉えることも出来ます。

東京という地が、大学や大企業が集まり、生活の利便性が高いことなどであることを考えると、大学や大企業の集積やテレワーク など働き方が大きく変化しなければコロナが終息し、景気が回復した後には再びもとに戻ることでしょう。

図表2:年齢別 東京23区への転入者数(2020年)

図表3:区別 20代の転入者数(上位10区)

総数 総数
世田谷区 27,066 12,989 14,077 新宿区 18,218 9,684 8,534
大田区 22,619 11,132 11,487 足立区 17,136 8,932 8,204
杉並区 21,011 10,184 10,827 江戸川区 16,404 8,771 7,633
練馬区 20,829 9,943 10,886 中野区 16,236 8,311 7,925
板橋区 19,198 9,210 9,988 江東区 15,482 7,834 7,648


男女別年齢別にみてみると、もっとも転入者が多かった層は、20~24歳の女性でした。
次いで、同じく20~24歳の男性、その後、25歳~29歳男性、女性が続きます。20代だけで、全体の約53%を占めます。大学進学・就職で上京する若者が多いと考えられます。

これらの若年層は、持ち家よりも賃貸に住む確率が高く、ワンルームのメインターゲットといえます。
次に、他のエリアから転入してきた20代が23区のどこに移動したのかを見たのが図表3です。これによると、世田谷区、大田区、杉並区が多いようです。特に、世田谷区は若い女性に選ばれやすいエリアといえそうです。