東京一極集中 減速。2020年はコロナ禍で人口移動にも変化が。
図表1:東京都への転入者数と転入超過者数の推移(日本人移動者のみ)
(総務省「住民基本台帳人口移動報告」より作成)
総務省が発表した2020年の人口移動報告では、東京都への転入超過の数が前年から大きく縮小し、「東京一極集中」に変化の兆しが見られました。
転入者数が減ったことと、転出者数が増加したことで転入超過が縮小しました。新型コロナウイルスの感染拡大で、地方への関心が高まったことが背景にあると考えられます。
圧倒的な東京都への人口集中、一方、地方都市の求心力にも注目。
図表2:移動前の都道府県別 移動後の都道府県の割合
こちらの表は、北海道から縦に並ぶ都道府県別(移動前)から、移動後どこの都道府県に行ったかを横に見ていきます。
例えば、北海道であれば、2020年に道外に移動した人の中で、25%が東京都へ移動しました。更に言えば、埼玉県、千葉県、神奈川県を含む東京圏へは合計51%、半数を占めています。
興味深いのは、最北の北海道から南の沖縄県への移動が意外と多く(2%)、871人と15番目に多かったようです。
本題に戻ります。これを見ると、各都道府県の中で、東京都へ移動する割合が高い傾向にあるのが分かります。
冒頭で「東京一極集中が縮小」と述べましたが、それでも、東京都の求心力が非常に強いのが分かります。
ただ、地方都市の求心力も注目すべきです。東北は宮城県、中部では愛知県、近畿は大阪府・京都府・兵庫県、中国地方では岡山県・広島県、九州地方では福岡県、これらの地方都市は周辺からの人口流入が多いのが分かります。
例えば、佐賀県では、2020年移動者のうち8%が東京都に行ったのに対し、44%が福岡県となりました。今後は地方都市への求心力へも注目していくべきと言えそうです。