東京都では相続税が発生した被相続人、1人あたり2,405万円の相続税
12月21日に、東京都令和元年分の相続税の申告事績が東京国税局より発表されました。
図表1:令和元年分における相続税の申告事績の概要(東京都)
東京都の令和元年における被相続人、つまり死亡した方の人数は、27万7千人でした。このうち、相続税の申告書を提出する要件に該当した被相続人の数は、3万6千人。
ちなみに相続税は「配偶者控除」や「小規模宅地等の特例」などを利用し、申告はするものの相続税がかからないケースもありますが、こちらに記載してある②の「相続税の申告書提出に係る被相続人数」は、相続税額のある申告書に係る計数を⽰しており、相続税がかからないケースに該当する被相続人は、13,373人でした。
被相続人の数に対する相続税の課税件数の割合がどれくらいかを計る課税割合は、令和元年では13.1%、つまり、実際に課税があった被相続人(死亡者)100人のうち約13人、約7.6人に1人の割合で相続税が発生したということになります。
課税価格は、相続財産価額に相続時精算課税適⽤財産価額を加え、被相続人の債務・葬式費⽤を控除し、相続開始前3年以内の被相続人から相続人等への⽣前贈与財産価額を加えたものを言いますが、令和元年は総額5兆8,038億円でした。そのうち、相続税として実際に課税された税額は、8,692億円です。そして、被相続人1人当たりにすると、およそ2,405万円と、かなり高額になっています。
現金・預貯金にかかる相続税が増加傾向に
図表3:相続財産の⾦額と構成⽐推移(東京都)
最後に相続財産の内訳について見ていきましょう。
H22年の時点では約半数を占めていた土地ですが全体の割合としては減少傾向にあり、令和元年では37%にまで減少しています。
代わって現⾦と預貯金の割合が増えています。理由のひとつに、高齢者の方が現預金保有を好む傾向が強いことが挙げられます。
しかし、現金を相続すると、例えば1億円の現金なら丸々1億円に課税されてしまいます。
一方で、土地や建物など不動産は相場より低い路線価などの評価額に対して課税され、さらに賃貸物件なら建物については「借家権割合」が適用され評価額を圧縮することが出来ます(条件によっては「小規模宅地等の特例」も適用されます)。
ここに不動産投資のメリットがあると言えるわけです。