株価と同じ動きを見せる不動産価格
今後の感染拡大ペースや終息時期の見通しが立たない新型コロナウイルス。景気にも大きな影響が出てきているのは周知の事実です。
今回は、景気動向を反映する株価と不動産価格の関係について深く考察していきたいと思います。
図表1:TOPIXと不動研住宅価格指数の推移
(国土交通省「不動研住宅価格指数」、東証資料より作成)
株価と不動産価格は、景気動向を反映して動いていると考えられるため、同じような推移を見せてます。
なお今回は、2005年から2020年1月までの数値で考察しています。この期間全体での相関係数は、0.69でした。
次に、TOPIXを先行指標として不動産価格との相関をとった結果(図表2—●—参照)、0.69だった相関係数が、6か月を超えると0.80と高水準になりました。
なぜ不動産価格の変化が株価の変化に約6ヵ月程度遅れるかと言うと、流動性の違いが考えられます。株式市場は流動性が高いのは言うまでもありませんが、実物の不動産は、売り手と買い手が存在しなければ売買が成立せず、相対的に流動性が低く、売買に時間がかかるため、これだけのタイムラグがあると言えます。
また、下がり基調上がり基調が顕著な場合は、価格折り合いが付きにくいため、こうしたデータに反映されるまで時間がかかるものと思われます。
株価下落期は不動産価格の反応も比較的早く表れる
図表2:相関時差の比較
次に株価が下落局面と上昇局面それぞれにおける、不動産価格の反応の違えいを見てみましょう。
同じく、TOPIXを先行指標として株価下落局面(リーマンショック前後の2007年~2012年)、上昇局面(アベノミクス後2013年6月以降)で大きく分けて、その期間での時差相関をとった結果が図表2となります。
株価下落局面(—●—)においては、不動産価格の反応も早めで株価下落の3~4カ月後に不動産価格が最も反応していることが分かります。
とは言っても、外出自粛が続く今は売買自体もこれまでのように行えない状態です。
一方で、こういった外部要因においても不動産投資の安定へも注目が集まっているので、投資用物件には今後注目が集まるかもしれません。
いずれにせよ、今回のコロナウイルスのによる不動産への影響は様々な角度からの考察が必要となりそうです