最近、「東京の不動産価格はもう高止まりなのでは?」といった声を聞くことがあります。
NISAの拡充や日経平均・為替相場の乱高下を受けて分散投資の重要性が高まる昨今、選択肢の一つとして東京の不動産に注目している方も多いのではと存じます。
今のタイミングだからこそ、東京の不動産価格は割高か割安か、本当に買い時かどうか知っておきたいところです。
ここでは東京と海外の主要都市を比較し、価格データから不動産価格の現状を分析していきます。
東京の不動産価格推移
まずは東京の不動産価格の推移から見ていきましょう。
東京における新築分譲マンションの不動産価格はおおよそ上昇傾向で、ここ数年間大きな変化なく高値を維持しています。
人口流入が続く東京では、今後も高い需要を維持すると見込まれます。
海外主要都市との不動産価格比較
2008年に起こったリーマンショックが世界の不動産市場に大きな打撃を与えたのは言うまでもありません。日本でも長らく不動産価格が低迷する時期が続きましたが、前項で触れたとおり近年は回復傾向にあります。
世界的に見てもリーマンショックの低迷を脱し、不動産価格が高騰するフェーズに突入しています。現在の価格水準をグラフで見てみましょう。
上記のグラフ(2024年データ)は100平方メートルあたりの不動産価格を示しています。数値が少ないほど面積あたりの価格が高いと言えますが、東京はアジア・欧米各地の主要都市と比較するとそこまで高くないことが分かると思います。
今回は投資対象として特に注目度が高いロンドン、ニューヨーク、香港3都市の不動産価格と傾向を詳しく見ていきます。
ロンドン(イギリス)の不動産価格
イギリスは2016年にEU離脱を決定し、2020年には離脱協定の批准手続きを正式に完了しました。一連のEU離脱騒動で大きなクラッシュが起こると予想されていましたが、ポンド安を狙った外国からの投資もあり、実際の不動産価格は多少の下落に留まる結果となりました。
しかしロンドンでは近年、不動産価格の高騰によるマンションの賃料上昇が家計負担を高めていることが社会問題となっています。今後しばらくは不動産価格が下落していくと予測されていますが、それでも世界的な水準で見れば高価格を維持すると見込まれます。
ニューヨーク(アメリカ)の不動産価格
引用:Elliman Report
アメリカのニューヨークではリーマンショックで一時落ち込んだ不動産価格が回復傾向にあり、現在はリーマンショック以前と比肩する高水準の価格帯を維持しています。
ニューヨークでも特に地価の高いマンハッタンにおける2024年Q1の住宅価販売価格の平均値は約185万ドル。日本円換算で約2億6,300万円(2024年9月のレートで計算)と、桁違いの高価格帯であることが分かります。
ここ最近は住宅ローン金利が高止まりしているためマンション価格の上昇はかなり落ち着いていますが、世界的に見て非常に高い水準を維持しています。
香港の不動産価格
引用:香港物業報告2024
アジアの大都市・香港はもともと地域の土地面積自体が狭いこと、国際的なハブ都市として人気が高いことから、不動産価格が高いことで知られています。
香港は世界でトップクラスの不動産価格を誇る街ですが、近年は中国の不動産市況悪化や政治情勢の影響を受けて価格は下落傾向にあります。
今後も中国の情勢により価格が上下する可能性はありますが、依然として高い水準を維持するものと思われます。
東京の不動産が注目を集める理由
近年、日本の不動産は海外投資家たちからも注目を集めているのは、マンション価格が比較的低いためだと言えるでしょう。
アジアで人気がある香港やシンガポールなどの都市は不動産価格の水準が非常に高く、購入にはかなりのリスクを伴います。
ニューヨークやロンドンといった欧米主要都市に関しても同様です。また、不動産価格が高いと見込める利益=期待利回りも減少します。
利回りは取得時の不動産価格と家賃収入から算出するため、価格が高い物件はその分利回りが低下します。
諸外国の主要都市と比較すると東京は不動産価格が安いため、手が届きやすい物件が多いと言えます。
また、中間層の個人投資家にとっても買いやすく、1棟購入と違って管理面を任せられる点からもマンション人気が高い理由の一つです。
まとめ
東京は、国内においては最も価格が高いエリアであり、市場価格の上昇局面ではどうしても割高に見えてしまいます。
しかし実際のところ、海外の主要都市と比較すると東京の住宅はまだそこまで高価格とは言えません。今後は国際化がさらに進み、海外投資家や外国人居住者が日本にやってくるケースが増えてくるでしょう。
将来の需要も考えると現在の不動産価格は決して高くはない、むしろ買い時であると考えられるのではないでしょうか。
ただし、不動産価格は国内・国外の経済状況に大きく左右されます。世界との比較も含めて俯瞰的な視点で予測しながら検討を進めることが重要です。