【不動産会社の情報収集で注意したいポイント】
・情報の発信者が信頼できるか見極める
・良い物件情報を得るには良い不動産会社選びから
・賃貸需要の調査は「情報収集」「目で見て確認」どちらも大切
【目次】
不動産投資の情報収集ポイント①目的を整理する
「安く買える」「利回りが高い」だけではNG
自分の目的に合った物件を探す
不動産投資の情報収集ポイント②情報の信頼性を見極める
メリットばかりの情報には注意
異なる立場からの情報を取り入れる
自分が得たい情報なのか正しく判断する
不動産投資の情報収集ポイント③頼れる不動産会社を選ぶ
これまでのマンション開発実績
管理方法
サポート体制
偏った情報から勧める企業には注意
不動産投資の情報収集ポイント④物件情報を判断する
建物の構造
エリアの賃貸需要
エリアの将来性
自分の直感も大切
まとめ
不動産投資において、初期段階の情報収集は失敗を避けるために不可欠です。
一つの情報源を鵜呑みにするのではなく、さまざまな側面から知識を得て自力で情報を判断する力を身につけましょう。
不動産投資の情報収集ポイント①目的を整理する
不動産投資といっても区分マンションや一棟アパート、新築や中古など、投資する不動産によって特徴は異なります。
ご自身に合った物件を選ぶためには、具体的な検討を行う前にまず投資目的を整理しておきましょう。
「安く買える」「利回りが高い」だけではNG
「なんとなく楽をして儲けたい」という軽い気持ちで利回りの高い物件や物件価格が安い物件を購入してしまうケースが散見されますが、これは初心者にとって最も危険な落とし穴です。
単純な利益面だけで見れば購入時の価格は安く、得られる家賃収入は高い物件の方がより望ましいことは間違いないかもしれません。
しかしそういった表面的な情報から判断するだけでは、自分の目的から逸れた物件を選んでしまう可能性が高まってしまいます。
自分の目的に合った物件を探す
投資先について調べる前に目的を具体化することにより、自分に合った精度の高い情報収集が行えるようになります。
不動産投資の目的は大きく2つ、①資産を作る・増やす②資産を守るです。
また、短期的な利益を求めるのか中長期的に安定した利益を得たいのかによっても選ぶべき物件は変わってきます。
例えば老後のために家賃収入を得るのが目的だった場合、短期的な購入金額の安さのみで判断して空室リスクの高い物件を購入してしまっては本末転倒です。
目的に基づいた視点で情報収集を行い、必要な情報の取捨選択をしていくことが不動産投資を知る大切な第一歩だと言えます。
不動産投資の情報収集ポイント②情報の信頼性を見極める
物件選びを始める前に、物件情報の良し悪しや購入のタイミングを見極めるリテラシーをつけることが重要です。
そのためには物件選びの前に不動産に関する基本的な知識をある程度勉強して頭に入れておくべきでしょう。
不動産投資の情報収集といえば以前は書籍やチラシなどのアナログな方法が主流でしたが、現在はWebで記事や動画でいくらでも情報が得られるようになりました。Webの普及は便利な側面もありますが、騙されることがないよう数多くの情報から信頼できるものを判断する力が必要不可欠です。
メリットばかりの情報には注意
Webでの情報収集で特に注意すべきなのは「メリットのみを誇張する広告」です。
特定の投資方法や商品を一方的におすすめしたり、反対に都合の悪いことを全否定したりする偏った情報のみを参考に投資対象を決めてしまうと、後からトラブルが発生するリスクが高まります。
どんな投資にもデメリットやリスクは付き物です。メリット以外の部分に目を向け、客観的に判断を下すことが重要だと言えます。
情報収集する際は発信者が客観性を有しているか、どんな目的で発信しているか意識しながら信頼性を見極める癖をつけましょう。
異なる立場からの情報を取り入れる
信頼性を見極める力をつけるには、スタンスの異なる複数の情報源から意見を取り入れるのがよいでしょう。
受け身の姿勢で知識を入れるのではなく、自身の投資スタンスに合うものか判断しながら納得感を持って情報収集を進めるのがポイントです。
情報収集で得た知識を自分で調べる過程で賛否両方の意見を聞いたり、複数の情報発信源に触れたりすることで自分の考え方、価値観を論理的に整理することができます。さまざまな立場を踏まえたうえで自分なりの意見を持つようになれば、自然と情報に対する目利きができるようになっていきます。
自分が得たい情報なのか正しく判断する
例えば、「日本は今後人口が減少するとみられているため、不動産価格が下がる」という情報をあなたはどう判断するでしょうか。
国立社会保障・人口問題研究所が発表している「将来推計人口」を参照すれば、日本は今後人口が減少するとみられることが分かります。
しかし「人口減少」はあくまで日本全体であり、都道府県や市町村など細分化してみたときに全てのエリアで人口が減少するわけではないことが分かります。
人口が減少するエリアでは、買い手・借り手需要が減少することになるので不動産価格が下がる可能性があるといえます。
ただし、人口が増加するエリアにおいては逆に買い手・借り手需要が増加することになるため、不動産価格が上がる可能性があるといえます。
自身が検討しているエリアがどこなのか、どのような物件を希望するのかによって得たい情報は異なるといえます。
もし仮に人口が増えるであろうエリアの情報を得たい場合は、「日本は今後人口が減少するとみられているため、不動産価格が下がる」という情報は正しくないといえます。このように自分が得たい情報なのか正しく判断することが重要です。
不動産投資の情報収集ポイント③頼れる不動産会社を選ぶ
不動産投資を行う場合、原則的に不動産会社から投資物件を紹介してもらう形になります。
良い不動産会社に出会えなければ良い物件には出会えない、つまり、「良い情報を得るには会社選びがすべて」といっても過言ではありません。
頼れるパートナーとなる不動産会社を探せるかどうかが投資成功の肝になります。
不動産会社はWebサイト内のブログ(オウンドメディア)やセミナーの開催、オンライン相談会などで積極的に情報を発信しています。
気になる会社が発信している情報はこまめに収集し、イベントにもできるだけ参加してから実際に利用する会社を選ぶことをおすすめします。
セミナー等に参加すると実際に不動産会社の営業担当者から話を聞く機会も出てきます。複数の不動産会社に取り扱い物件のこだわりや会社の強み、リスク面など同じ質問をして、回答を比較するといったことも、その会社を知るうえで有効です。会社選びの参考材料として以下の点を押さえておきましょう。
これまでのマンション開発実績
Webでの情報発信はある程度参考にはなりますが、実績が伴っていない可能性も考慮しなければなりません。
会社によってはマンション開発実績がない、もしくは1~2棟のみということも珍しくなく、そういった場合は実際に購入する段階になって良い物件を紹介できない可能性があります。
また、供給する物件が主にどんな層をターゲットにしているか把握しておくことも重要です。空室リスクを避けるためにも、入居者が途切れない優良な物件を供給できる見込みのある会社かどうか確かめましょう。
・これまで扱ってきた物件数
・物件の主なエリア
・物件の主なターゲット層(単身者、ファミリー、女性向けなど)
・設備のグレード、家賃の価格帯
などをあらかじめチェックしてください。
立地などの条件が良い物件を保有する会社かどうか見極めるには、リピーターの多さや営業担当の態度を見るのもおすすめです。
一般的に条件の良い物件を持つ不動産会社はリピート購入するオーナーが多く、無理をして物件を捌く必要がないため営業担当が無理な押し売りをすることはありません。
裏を返せば、イベント等に参加しても2回目の購入を検討中のオーナーが全くいない会社や、営業担当の押しが強すぎる会社には注意が必要です。
管理方法
不動産投資を成功させるには客付け(入居者募集)、家賃の集金などの管理業務を効率的に行うことも重要です。
その不動産会社で物件を購入した場合、どのような管理方法を選べるのかあらかじめ把握しておきましょう。
特に兼業オーナーの場合は管理業務を管理会社に委託するケースが多くなるかもしれませんが、一方で専業オーナーはすべての管理業務を自分で行う「自主管理」という方法を取る方も多くいらっしゃいます。
中には賃貸物件を管理会社が借り上げ、それを入居者に転貸する「サブリース」という管理方法を取る不動産会社もあります。
サブリースはメリットもありますが、賃料の見直しによるトラブルが起こりやすいなどのデメリットもあるため、サブリースしか選択できない会社は注意が必要です。
基本的にはオーナーの状況に合わせて柔軟に管理方法を選択できる不動産会社を選びましょう。
サポート体制
上述した管理方法も含め、購入後のサポート体制が会社選びの大きな判断基準になります。
不動産会社によってサポートの範囲はまちまちで、物件の契約後は完全にオーナーの管理になるところから、管理組合の運営や売却サポートまで請け負っているところまで多種多様です。
物件のアフターサービス、賃貸管理、建物管理(組合運営)、売却まで全てサポートしている会社は特に取扱物件の質を重視する傾向にあるため、物件の質をある程度見極める一つの材料にもなります。
自分の状況に合ったサポート体制を敷いている不動産会社を選ぶのが大切です。
偏った情報から勧める企業には注意
偏った視点で勧めてくる会社は情報の信頼性に欠けるため注意しましょう。特に新築のみ・中古のみなど販売する物件の条件が偏っている会社は、提供している情報内容も偏っている可能性があります。
企業の提供する情報を参考にするときは、データや裏付けに基づいた情報提供を行っているか逐一チェックするようにしてください。
不動産投資の情報収集ポイント④物件情報を判断する
同じ不動産会社からの紹介でもタイミングによって物件の質や傾向が異なる場合があるため、自分で最終的な判断基準を持っておくことが重要です。
可能であれば実際に紹介された物件を訪れてみて、「入居者が住みたいと思える環境が揃っているか」きちんと確かめてみましょう。
物件情報を判断する際は以下の項目に注目してみてください。
建物の構造
空室リスクを低減するには入居者にとって心地よく、安心感のある住まいにすることが重要になります。
入居率が上がらない場合、内装や室内設備は比較的容易に取り換えることができますが、建物の構造は変えることができません。
間取りやコンクリート/木造などの建築構造により、部屋の快適性は大きく異なります。入居者の視点に立ち、住みやすい建物になっているかしっかりチェックしましょう。また、同じ建物でも階数や部屋の広さによって条件が異なるケースもあります。
現在は地震や台風など災害リスクを考慮して部屋探しをする人も多いため、耐震・防水設備へ対応していることはもちろん、防災倉庫などが建物内にある物件を選ぶのがおすすめです。
災害リスクについて、詳しくは「災害リスク視点で考える「マンション投資」おすすめ理由5選」で解説しています。こちらもご参照ください。
エリアの賃貸需要
物件の賃貸需要はおおよそエリアの賃貸需要に依存します。エリアの住環境が良好で周辺物件の空室率が低い場合、長く借り手がつく良物件であるケースが多いでしょう。
また、特に単身者向けマンションの場合は駅からの距離も大きな判断材料になります。
エリアごとの空室率は総務省統計局「住宅・土地統計調査報告書」から確認できます。検討している物件の空室率は一度必ずチェックしておきましょう。
そのほか、賃貸需要はバストイレ別・オートロックなど人気の設備を設置しているかどうかも影響します。先述したように内装は後からある程度変える余地はありますが、なるべく費用を抑えて運用するには初期設備が充実した物件を選ぶことも重要です。
企業や大学、大型病院などの賃借人ペルソナが幅広く想像できる、周辺に開発が容易できる土地や用途地域(新規供給)が少ないなどを含めてもOKです。(地方の大学キャンパスなど一つの需要に期待するのはリスク)
エリアの将来性
今の賃貸需要はデータや周辺の住環境のチェックで分かりますが、5年先・10年先・20年先まで見据えると現在の状況把握だけでは不十分です。
都市計画などを参照し、該当地域の将来性を見極める必要があります。
例えば近くのエリアで大規模な再開発がある場合、賃貸需要を含めさまざまな産業・サービスにおける需要拡大が見込まれます。
現在は家賃や入居率が高くない物件であっても、周辺地域の再開発が進んで将来的には需要が上がるかもしれません。
例えば近年再開発で注目を集めているのが品川・高輪エリアです。再開発に伴ってトヨタの新社屋など大企業の誘致が進んでおり、オフィス需要はもちろん近隣エリアでの賃貸需要向上も期待されています。
東京の再開発エリアに関して詳しくは「東京の不動産は今後どうなるのか?開発が進む東京都心注目エリアを深掘り」で紹介しています。こちらもご参照ください。
長期的な収益性を判断するために、先々の開発予定や発展性にも注目しましょう。
自分の直感も大切
「実際に物件を訪れた方がよい」と先ほど申し上げたのは、自分の目で見てみることで言語化できない直感を働かせることができるからです。
物件選びのポイントは数多くありますが、それらで紹介される「人気物件」の条件をすべて満たしているものを選べば絶対に失敗しない、というわけではありません。
実際に物件をいくつか見てみると、多くの方が「なんとなく良さそう」「条件が良くてもなにか気に入らない」といった感覚が出てくるかと思います。
最終的な決め手としてこの直感は意外と重要で、自分でも気づいていない物件の魅力や欠陥が隠れているケースも珍しくありません。
理性的に物件の情報を精査して迷ったら自分の直感に従う、こうしたバランス感覚が成功のカギを握ります。
「私は感覚人間なので、物件選びでも「ここだ」と思うインスピレーションを大切にしています。」不動産投資オーナーインタビューはこちらから
まとめ
不動産投資は物件の規模にかかわらず1件あたりの取引金額が大きく、一度の失敗が命取りになることもあります。信頼できる情報源からの情報収集を怠らず、万全なサポート体制を敷いている不動産会社を選ぶことが重要です。
また、実際に物件を選ぶときは自分の求める条件が揃っているか、本当に住みやすい環境か、足を運んでみて実際に確かめてみることをおすすめします。複数の物件を見て回ったうえで納得できる物件を選びましょう。