日本の長寿化は年々進んでおり、近い将来100歳になった50%が健在である「人生100年時代」を迎えるといわれています。
家族やもしもの時のために生命保険に加入する方は多いですが、最近では生命保険の代わりに不動産投資をはじめる方も増えつつあることはご存知でしょうか。
不動産投資ローンを組む際には団体信用生命保険(団信)へ加入が必須であることが多いため、不動産への投資がもしもの事態に備えた保険代わりになると言われています。
そこで今回は、不動産投資は本当に生命保険の代わりになるのか、生命保険と比較した不動産投資のメリットなどをご紹介します。
【目次】
1.不動産投資は生命保険の代わりになるか?
2. 団体信用生命保険(団信)の種類
一般団信
ワイド団信
疾病保障付き団信・がん団信
その他の団信
3.生命保険としてみた不動産投資のメリットとデメリット
生命保険としてみると低コスト
団信の特約で就業不能保険の代わりに
個人年金、保険代わりになる
不動産投資を生命保険代わりにするデメリット
4.まとめ
1.不動産投資は生命保険の代わりになるか?
不動産投資が生命保険の代わりになると言われているのは、不動産投資ローンを組む際に団体信用生命保険(団信)に加入するケースが多いためです。
団信に加入すると、契約者が死亡または高度障害状態で働けなくなった際に、生命保険会社から支払われる保険金によって住宅ローンの残債が返済され、無借金の物件を相続人に残すことができます。
相続人は残債を支払うことなく購入物件から毎月安定した家賃収入が得られ、売却した際はまとまった資金を獲得できます。
2. 団体信用生命保険(団信)の種類
保険会社、加入する団信の種類によって保障の範囲や条件が異なります。
基本的に途中で団信の種類を変更することはできないため、加入予定の方は自分の状況にマッチした団信をよく検討すべきです。
一般団信
通常「団信」と呼称する際はこの一般団信を指すことがほとんどです。一般団信は契約者が死亡または高度障害状態となった場合にローンの残債を保険会社が弁済する保険で、健康状態が良好であることが加入の条件になります。
一般的に契約者が保険料を負担する必要はありません。
ワイド団信
既往歴がある等、健康上の理由で一般団信に加入できない人を対象にした保険がワイド団信です。
全ての人が加入できるわけではありませんが、一般団信と比較すると引受基準が大幅に緩和されるため、糖尿病や高血圧などの持病がある方でも審査に通る確率が格段に上がります。
多くの場合、ワイド団信に加入すると0.2~0.3%程度ローン金利上乗せされる形で保険料を負担します。
疾病保障付き団信・がん団信
がんや三大疾病によって返済が困難になるリスクに備えた医療保険に近い保障を加えられる団信も存在します。それが疾病保障付き団信・がん団信です。
疾病保障付き団信は単体で契約するものではなく、一般団信もしくはワイド団信に特約として上乗せするシステムになっています。
死亡・高度障害状態以外の大きな病気に備えたい方に最適な特約ですが、一般団信・ワイド団信よりも年齢制限が厳しいケースが多いので注意が必要です。ローン契約時の年齢が50歳を超えると、特約が付けられない制限がある金融機関が多いです。
その他の団信
金融機関によっては怪我や病気への一時的な補償がセットになった特約が団信に付帯しているなど、団信の種類が増えており、保険代わりの選択肢が広がっています。
多くの場合はローン金利に上乗せされる形式になるため、通常の生命保険・医療保険と比較してどちらがコストを抑えられるか検討するとよいでしょう。
3.生命保険としてみた不動産投資のメリットとデメリット
ここからは、生命保険として不動産投資を見た時のメリットについてご紹介していきます。
生命保険としてみると低コスト
都内で投資用の新築マンションを、ローンを組んで購入した場合、ローンの返済は家賃収入で補うことができるため、月々1万円~3万円ほどの負担額になることが多いです。資産運用として活用しながら、運用中は団信の効果で生命保険代わりとして役立てることができます。
特に、ローンを組んでから10年程度は残債が数千万円あるケースが多いため保険としての効果も大きくなります。
一方生命保険の場合、毎月の負担額が1万円~3万円代になる点では同じですが、保険料は年を重ねる度に増加していきます。また、保険金も積立保険であればそこまで大きな金額にはなりません。
団信であれば債務者が保険料を支払う必要はなく、資産運用のおまけとして万が一の事態に備える保険として利用することができます。実際、不動産投資家の多くは生命保険の死亡保障に加入せず、余剰資金をさらなる投資に充てて資産を増やしています。
団信の特約で就業不能保険の代わりに
生命保険には、がんや三大疾病など重度な病気に罹患し、勤務先の退職などで収入が減少した人に向けた就業不能保険があります。不動産投資ではがん団信や三大疾病などの特約を付ければ同様に就業不能保険の機能を担うこともできます。
特約付きの団信を利用すれば、一般団信のように死亡や重度障害にならずともローン残高が0円になります。身体の都合で働けなくなったとしても、毎月家賃収入を得ることができるようになります。病状が回復し、働けるようになっても残債が元に戻ることはないため、変わらず家賃収入を得ることができます。
がんのような大きな病気になった際は、不動産投資の家賃収入が大きな助けとなるでしょう。
※特約付きの団信は、金融機関によって取り扱いの有無、条件が異なります。
※特約付きの団信を検討する場合は、金融機関や不動産会社の係員までお尋ねください。
個人年金(年金保険)代わりにもなる
不動産投資では、ローン完済後は毎月家賃収入が手元に入るため、生命保険の代わりだけでなく、個人年金保険の代わりにもなります。
通常の年金保険は一定期間お金を得られるだけですが、不動産投資は入居者がいる限り家賃収入を得ることができるため、年金保険と違ってほぼ終身受けられるサービスとなる点が大きなメリットです。さらに、ご自身が亡くなった後も家族に相続され、継続して家賃収入を得ることができます。
不動産投資を生命保険代わりにするデメリット
もしもの時への備えとして団信に加入するメリットはいくつかありますが、その一方でデメリットも存在します。
前述の通り、団信に加入した状態で死亡もしくは高度障害状態になった場合、ローンの残債は保険会社が代わりに返済します。しかし相続時には物件の資産価値が著しく減少している、売却ができないといういわゆる「負動産」になるリスクがあります。
保険として考えた際、掛け金より保険金が低いもしくは保険金が支払われないリスクがある点がデメリットだと言えるでしょう。
不動産投資には不動産投資にしかないメリットがありますが、団信に加入するからといって全ての生命保険を解約するのは速断に過ぎるでしょう。突然の事故や病気への確実な備えも欲しい方は、既存の死亡保険は解約して団信では補えない部分を医療保険で補完するのも一つの手です。
4.まとめ
長寿化により備えるべきリスクは多様化しつつあります。生命保険は就業不能保険、年金保険、死亡保険などさまざまな種類があり、全てのリスクに備えようとすると家計への負担が大きくなります。今後はライフスタイルに合わせてより一層効率の良い備えが必要です。
不動産投資は複数の保険代わりになるため、効率よく将来への備えに活用できるでしょう。
不動産投資の会社に相談すれば、生命保険としての「費用対効果」をシミュレーションできます。ぜひご活用ください。