【目次】
― 大阪都構想、住民投票で否決
― 東京の人口が増えている理由と大阪経済の凋落
― 東京一極集中はさらに加速、東京都心の不動産価格はさらなる上昇基調へ
大阪都構想、住民投票で否決
11月1日、「大阪都構想」の是非を問う住民投票が行われました。即日開票の結果、今回も僅差で否決ということになり、これにより大阪が東京都のように、都と区での行政を司ることはなくなりました。
変革を求めない、おもに高齢者層の支持を得られなかったようです。
「大阪「府」と大阪「市」の二重行政によるムダを省き一元化する」ということに焦点があたっていたようですが、個人的には、それ以上に大阪・東京という2つの都にもどるかのどうか?に注目していました。
東京の人口が増えている理由と大阪経済の凋落
今では50代以上の方くらいしかイメージできないかもしれませんが、東京の人口は1980年代、90年代の前半は減少基調にありました。平成6年(1994年)には約4万人の人口減少が起こりました。
上昇基調になるのは平成8、9年(1996・7年)あたりからで、以降は人口増加が続いています。
そしてそれに呼応する形で不動産価格は市況の波を受けて(ミニバブルやリーマンショック)上下してきたものの、不動産価格は基本的には上昇トレンドにあります。
東京(あるいはその周辺)への人口の増加は、1990年代後半からの都心回帰の現象に加えて、関西(とくに大阪)からの人口流入が増えたことが理由です。
近年の東京への人口流入の動きを見ていると、最も多く東京へ移動しているのは大阪に住んでいた方々となっています。
かつて、日本の2大都市と言われた東京と大阪ですが、すでに大阪の名目府内GDPは10%を切っており、また大阪に本社を構えている企業の流出(移動)も、長期的に続いています。
特に、1990年代後半からは、大企業の実質的な東京への移転(本社所在地は大阪に置きながら、本社機能を東京に移す)が目立つようになりました。
それにともない、先に述べたように、大阪から東京への人口移動が増えました。TVなどで、関西をベースにしていた芸能人が東京へ移動する例も多いので、こうしたことを感じている方も多いと思います。
テレビ局は東京キー局、関西準キー局と言われていましたが、いまではそんな様相がなくなってきました。この20年超の期間に大阪は、2大都市の1つから、一番大きな地方都市になってしまったわけです。
もし、大阪都構想が可決されて大阪都ができれば、こうした大阪の凋落に歯止めがかかるかもしれない、そうすれば東京への人口流入が減るかもしれない、と思っていたのですが、その可能性が低くなりました。
東京一極集中はさらに加速、東京都心の不動産価格はさらなる上昇基調へ
こうした状況を考えると、現在は新型コロナウイルスによる影響で東京の転入超過は減っていますが、コロナショックが落ち着き、WITHコロナが浸透すると、再び東京への人口流入は増えるものと思います。さらに、東京(首都圏)のライバル都市がなく、東京だけが地方からの受け入れ都市となりそうですので、この傾向は加速するものと思われます。こうしたことが早晩はっきりとするならば、東京の中心地における不動産価値は、間違いなく高くなることでしょう。
現在、東京を離れて地方に居を求めている方が一時的に増えているようですが、それもそろそろ落ち着きを見せ始めています。
また、大学のリアル授業も再開され、賃貸住宅を借りようと考えていたが自宅待機を余儀なくされていた1年生たちも、戻り始めています。
オフィスの空室率の上昇が徐々に目立ち始める一方で、賃貸住宅の空室は低いままで変化はありません。
ワンルームマンションを含めて、都心の賃貸住宅物件への投資熱は、コロナ禍にあっても、全く衰えていません。こうした傾向は、多少の上下の波はあると思いますが、長期的につづくものと思われます。