現行の建築基準法は1981年に改正されたものがベースとなっています。1981年の改正時には、耐震基準も大きく見直され「震度6程度でも損害を受けない」ものとされました。
首都直下型地震や南海トラフ巨大地震の発生可能性が高まる中、国や行政機関は耐震補強工事を推進していますが、いまだに「持ち家」物件でも「賃貸住宅」でも、旧耐震物件は多く存在しています。
ここでは、「住宅・土地統計調査」の最新版(令和5年調査:公表24年9月)から、首都圏の主要地域の旧耐震賃貸物件がどれくらいあるのかを見てみましょう。
貸家(賃貸用住宅)の建築年別割合(2023年)
上のグラフは首都圏の中でも賃貸用住宅の多い東京23区、横浜市、川崎市に23年現在存在する貸家(=賃貸用住宅)が建築された年代ごとに、その割合を示しています。
1981年が旧耐震と新耐震基準の境とすれば(注:厳密には1981年5月31日までに確認申請を受けた建物が「旧耐震」で、1981年6月1日以降の確認申請を受けた建物は「新耐震」物件ですが、ここでは1980年と81年を境としました)、全国で15.1%の貸家が旧耐震物件です。東京23区では14.7%、横浜市では14.4%、川崎市では9.1%となっています。
ベッドタウンとして人口が増えた川崎市では、持ち家が目立ちましたが、2011年以降は賃貸住宅が増えていることが分かります。
東京23区と川崎市では2011年以降の賃貸住宅は約30%ですが、横浜市は割合的には少し少なく約25%となっています。
横浜市、川崎市ともに、人口が増えた80年代90年代に建てられた賃貸住宅が多く、これらが築40年を超え始めており、建て替えの時期が迫ってくるものと思われます。
よくグラフをみれば、築10年以内の物件は2割を少し超える程度しかないことがわかります。
こうしたことから、首都圏主要都市においては築浅の賃貸住宅の優位性が高いことが伺えます。